クラウドから「エッジ」への動きが加速:Build/de:code 2019レポート 第3回
トヨタマテリアル、無人走行フォークリフトのカスタマイズにAzure活用
Build 2019にみるマイクロソフトが買収した企業のその後
2019年05月13日 08時30分更新
マイクロソフトの開発者イベント「Build 2019」のパートナーショーケースで、トヨタマテリアル ハンドリンググループ(TMHG)が、機械学習サービス「Azure Machine Learning」を使って、顧客の倉庫内を無人走行できるようにカスタマイズしたフォークリフト搬送車を紹介していました。
TMHGは世界最大規模のフォークリフト製造会社です。フォーリフト型搬送車は、倉庫内で荷物を持ち上げ、搬送する車両です。同社は、デジタルツインで顧客倉庫の仮想モデルを構築、仮想環境で倉庫内での走行経路やフォークリフトの動作などをシミュレーションして、「深層強化学習」という機械学習手法を用いて車両をトレーニングしています。仮想モデルとAzure Machine Learningを使うことで、カスタマイズした無人走行車両を展開するまでの時間を大幅に短縮できるそうです。
ここで使っている「深層強化学習」は、マイクロソフトが2018年6月に買収したBonsai のテクノロジーをAzureの機械学習サービスに取り入れたものです。TMHGの事例に見るように、「今回のBuild 2019は、マイクロソフトが買収した企業のプロダクトをうまく活用しているのが見えたイベントだった」と、日本マイクロソフト CTOの榊原彰氏がBuild会期中に行われたJapan Wrap-Upセミナーで総括していました。
Semantic Machinesの対話型AI技術を全製品に展開
Build 2019初日に行われたキーノートで、マイクロソフトのサティア・ナディラCEOが、音声アシスタントとの自然な会話から予定を設定できる対話型AIを紹介しました。この対話型AIは、マイクロソフトが2018年に買収したSemantic Machinesのテクノロジーを使って実現したものです。今後、音声アシスタントを使うマイクロソフトの全製品にこの対話型AIが実装されるそうです。
GitHubアカウントでAzureにサインイン
GitHubのマイクロソフトプロダクトとの統合も進展しました。Build 2019初日に行われたスコット・ガスリー氏のテクノロジー・キーノートで、GitHubのアカウントでAzureにサインインできるようになったこと、Visual StudioサブスクリプションとGitHub Enterpriseの両方を合わせてより低価格で購入できるようになったこと、GitHub EnterpriseがAzure Active Directory認証をサポートしたことが発表されています。
CitusのPostgreSQLのスケールアウト技術を実装
マイクロソフトが2019年2月に買収したCitus Dataは、PostgreSQLデータベースをスケールアウトさせるテクノロジーを開発していました。今回のBuildで、Citus Dataのテクノロジーを使った「Azure database for PostgreSQL Hyperscale」が発表されました。Hyperscaleは、大規模なデータ容量とトランザクション量に対応できるスケールアウト型のデータベースを提供します。
※本記事はFIXERのTech Blogからの転載です。
この連載の記事
-
第14回
クラウド
PWA、ML Ops、マイクロサービス――最も”今どき”なスマホアプリ開発を実演 -
第13回
クラウド
クラウド化は不可避な流れ、.NETアプリをクラウドネイティブへ移行するには -
第12回
TECH
「Internet of Human」の未来を体験――de code 2019のEXPOエリアで衝撃を受けた -
第11回
TECH
C#ライブコーディング対決!Blazor Web開発バトルが面白すぎた -
第10回
クラウド
なぜ日本語の機械翻訳や音声認識は精度が低いのか -
第9回
クラウド
デモで解説!「Visual Studio 2019」の新機能 ~GitHub、Azureと華麗に連携~ -
第8回
クラウド
WindowsにLinuxカーネルが入るとWeb開発が変わる――de:code 2019基調講演で「WSL2」をデモ -
第7回
クラウド
アーキテクチャ図でみる、Azureブロックチェーンを使ったスタバの珈琲豆トレーサビリティ -
第6回
クラウド
ソニーも注目したマイクロソフトの「Game Platform」とは -
第5回
TECH
Build 2019でのFluent Designの発展 -
第4回
クラウド
Build 2019でKubernetesのサーバーレスフレームワーク「KEDA」発表 - この連載の一覧へ