2019年4月9日、Slack Japanは3月初旬に移転した東京・大手町の新オフィスを報道陣に披露した。Slack CEO兼共同創設者であるスチュワート・バターフィールド氏も来日し、日本市場へのコミットをアピールした。
「大手町1-1-1という贅沢な住所を使わせてもらう」
ビジネスチャットツールとして成長を続けているSlack。現在8万5000社以上の企業が日々業務にSlackを活用している。日本では2017年11月から製品の完全な日本語対応のほか、日本語でのカスタマーサポートやWebサイト、円建てでの請求書発行などがスタート。大手町にオフィスを開設し、国内での利用推進やパートナー開拓に努めてきた。
3月に移転したばかりの新オフィスは皇居のすぐ横にある大手町のビジネスビル内にあり、最大80名程度の人数を収容できる約1400㎡の床面積を確保している。移転先も大手町になった理由についてカントリマネージャーの佐々木聖治氏は、「Slackは(テックカンパニーだけではなく)すべての会社に使ってもらうことを目的にしているので、歴史あるビジネス街である丸の内・大手町エリアにオフィスを構えることにしている。移転先のオフィスは『大手町1-1-1』という贅沢な住所を使わせてもらうことにした」と語る。
執務エリアには1人1つの社員スペースや複数の会議室のほか、乳幼児の保護者向けのマザーズルーム、健康維持のためのマッサージルームなど福利厚生の設備も用意される。広々としたカフェテリアからは、皇居の緑が一望でき、イベントやケータリングも提供されるという。また、社員と顧客とのコラボレーションを進めるためのセミナールームやコワーキングスペースなどを備えているという。茶室のような漆喰の壁が印象的で、全体的にシックな内装となっている。
カフェやコワーキングスペース、会議室などは「縁側」と呼ばれる黒い床のスペースでつながれている。縁側は部屋間を行き来する廊下であるとともに、窓の外を見ながら社員同士や顧客同士がやりとりできる空間でもある。縁側のみならず、多くのスペースがコラボレーションを促すしつらいになっているのが特徴的。「リアルオフィスでもお客様とSlackメンバーをつなぎ、楽しみながら、コラボレーションしながら、新しい働き方として使ってもらいたい」と佐々木氏は語る。
近畿大学やN高校での事例も発表
同日には国内での教育機関の事例も発表された。学生数約3万人を誇る近畿大学は2017年より職員のSlack導入が段階的に進められており、2019年4月には全キャンパスと拠点の職員まで導入が拡大した。また、インターネットと通信制高校を活用した角川ドワンゴ学園のN高等学校も開校当初より公式のITツールとしてSlackを導入しており、現在では生徒・職員あわせて数千人規模で、日々の学習やコミュニケーションにSlackが用いられているという。
米Slack Technologies エンタープライズプロダクト部門責任者であるイアン・フランク氏は、市場が劇的に変化する中、多くの組織がアジリティ(柔軟性)を必要としているにも関わらず、業務アプリケーション自体が増加しているという現状を指摘。また、情報の透明性やアクセス性を上げたオープンなコミュニケーションをとることで、生産性が向上し、離職率も下がっていくと指摘した。
組織で必要なアジリティの確保とオープンなコミュニケーションを推進するのがSlackだ。「組織内の意思統一が図られるのが第一条件。そのために一元化されたソリューションを提供する」とフランク氏は語る。
Slackはコミュニケーションを「チャンネル」という単位で捉えており、1対1、1対多といった人数はもちろん、プライベートとパブリック、チームや全社、ゲストや他の組織など目的にあわせてネットワーク化できるという。機能面ではメッセージング、チャンネル、インテグレーション、ワークフロー、AIなどでワークフローを改善し、組織の働き方の変革を後押ししていく。「変革を実現するのはチャットではなくワークフローである」とフランク氏は語る。
オフィス説明会に登壇したSlack CEO兼共同創設者であるスチュワート・バターフィールド氏は、「日本企業はわれわれが重視しているのと同じ、効率性、専門性、チームワーク、調和など重視している。変化し続ける世界に対応することを重視している。そして、多くの日本企業がSlackこそが働き方を改革する触媒になることも理解してくれている」と語り、日本市場へのコミットをアピールした。