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「深層学習の父」ら3人にチューリング賞

2019年03月30日 10時55分更新

文● Will Knight

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大規模人工ニューラル・ネットワークの学習能力の研究によって、人工知能(AI)革命のきっかけを作った3人の科学者に、コンピューター科学の分野でもっとも権威ある賞、チューリング賞が授与された。

ジェフリー・ヒントン博士、ヤン・ルカン博士、ヨシュア・ベンジオ博士の3人は、AIコミュニティがこの分野を将来性のない行き止まりだとみなし、シンボリック・アプローチ(学習ではなく手入力によってコード化された論理規則を用いる手法)に焦点を当てていた時期に、数十年に渡って辛抱強くニューラル・ネットワークの研究に取り組んだ。

2012年、突如、多層ニューラル・ネットワークが画像認識に驚くほど優れた威力を発揮することが証明された。その鍵となったのは、ニューラル・ネットワークに膨大な量の訓練データを与え、要求される並列演算処理に適した強力な画像処理チップを使って画像認識を実行することだった。

深層学習は今やあらゆる場面で利用されており、フェイスブックに投稿される画像の処理やグーグルのターゲット広告、自動運転自動車が周囲の状況を認識する際にも用いられている。効率性の向上に熱心に取り組む非テック企業でも、深層学習テクノロジーの導入が急速に進んでいる。

深層学習の威力が明白になるなか、ヒントン博士とルカン博士はすぐにグーグルとフェイスブックにそれぞれ迎え入れられた。深層学習テクノロジーの台頭は、長い間、SFのように思われてきたAIの分野にブレークスルーへの希望をもたらした。たとえば、ルカン博士はフェイスブック内で、強力な画像・動画認識機能を開発する取り組みを率い、さらに高性能なパーソナル・アシスタントの開発研究も主導した。

深層学習、そしてAI全般は、ヒントン博士やルカン博士、ベンジオ博士を含め、多くの人があまりにも性急すぎると考えたほどの速さで、急速に広まった。たとえば、深層学習は顔認識やその他の方法による監視行動を過熱化させた。またこのテクノロジーによって、大量のデータと演算能力を有する事業者の手に権力が集中することにもなった。

3人はいま、心地よいひと時を味わっている。ヒントン博士にとって今回の受賞は、知性を宿す機械について最初に考察したある人物に端を発する、AIについての根本的事実を反映したものだ。「知性の根源は学習にあるという確信を抱いていた、その人物こそがチューリングでした」。MITテクノロジーレビューの取材にヒントン博士はそう答えた。

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