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82歳、川淵三郎氏が熱く語る「日本のスポーツ界は、宝の山」

2019年03月25日 06時00分更新

文● 上野直彦 編集● ガチ鈴木/ASCII編集部

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日本のスポーツ界はなぜ発展しないのか?

 今の日本において、私は日本のスポーツ界は宝の山だと思っている。それはなぜか?

 答えは簡単で各競技団体が何もしていないからです。

 一つの例がお金の稼ぎ方が非常に下手です。理由は各競技団体のトップが競技の元日本代表であったり、社会的地位が高かったりで、たまたまその地位に就いている方が多い。経営のプロではありません。スタッフの大半も元選手などが占めている場合が多く、つまりビジネスの素人が集まっている団体なわけで、それではお金の稼ぎ方がわかるわけがありません。

 さらにいうとお金を稼げる優秀な人が集まらない。競技団体側にお金がないからで優秀な方に見合う待遇ができないからです。優秀な人がいない、資金は増えない、という負のループに陥っている。これが日本スポーツ界の現状です。

新しい世代の台頭に期待

 ただ明るい話題もあって、去年フェンシング競技の元五輪銀メダリストの太田雄貴さんが協会の会長になりました。彼はどうしたらフェンシングを日本に普及促進できるかということを四六時中考えています。競技の見せ方を工夫して会場を劇場に変えたりした。結果として全日本選手権が満員になりました。彼のような会長が各協会にいて優秀なスタッフがいればその競技団体はどんどん発展していくでしょう。

 Jリーグでいえば、楽天の三木谷さんやサイバーエージェントの藤田さんも新しい経営者像です。彼らは経営のプロでビジネスとしてスポーツをしっかりと捉えている。ヴィッセルのスタジアムは現状最大で2万5千人しか入らないので、これは仮の話ではありますが、埼玉スタジアムであれば最大6万人は入ります。レッズは年間の平均入場者数が3万5千人くらいなのですが、去年の神戸戦ではイニエスタ選手を見たさに5万5千人入りました。

 年間でホームゲームは約20試合なので、単純計算すれば年間40万人プラスとなるわけです。仮に3000円だったチケットを5000円にすると収益は全部でプラス34億円になる。イニエスタの年俸は推定32億円といわれていますが充分賄えるわけです。こういう計算や経営判断をできる人材が少ないのです。

 新しい視点で取組みを初めた三木谷さん、藤田さんがオーナーになられた町田ゼルビアは現在J2ですが、様々な展望をお持ちでいらっしゃる。ただ彼らのような例は現時点の日本において特例であって少数派なんです。

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