「一人の力で日経平均を動かせる男」に聞いた:
230億円稼いだ投資家に人生で大切なことを教わった
●大切なのは好奇心を持ち続けること
cisさんが会場の外で記者たちに語った話では、自分は相場とゲーム以外は本当にダメなので、どんな人に対しても敬意を払えるのかもしれないということでした。
通信環境が発達し、個人でも大金を稼げるようになった時代がたまたま自分に向いていただけで、「同じ頭をもっていても生まれるのが50年遅かったら稼げなかったのでは」「ぼくとか、よくてギャンブルくずれみたいな感じなので」などと自虐的といえるほど謙虚なことを言っていたのがとても印象的でした。
「みんなが儲けようとしてやっているところで勝つということは、運か時代か実力がないとダメ。実力なんて言ったって、若くて優秀な人はどんどん流入してくる。ぼくだって実力があるなんてもう思ってないです」(cisさん)
時代といえば、相場の世界ではAIを使った自動取引が増えています。今はまだAIを使っている人間がリスクをとれる範囲に限界があるという弱みがありますが、今後の進化は未知数です。「コンピューターが発達して時代も移り変わる中、勝ち続けられるとは思っていません」とcisさんは言います。自分でAIを使った投資をするかとたずねると「得意分野じゃないのでやらない」と答えていました。
たとえば将棋の世界ではAIの見つけた定石やセオリーを勝負に取り入れて勝つ新世代の棋士が登場しています。おなじことが相場の世界で起きたとしたら、cisさんは今までのようなやり方では勝てなくなるのかもしれません。そのときには潔く勝負から退くと判断できるのがcisさんのすごいところだと感じます。
そんなcisさんは、人よりすぐれているのはどこかと聞かれて「継続性があったことと、知的好奇心がつきなかったから」と答えていました。つきせぬ好奇心があったからこそ労を惜しまず投資を続けてこられたというわけです。
投資をしていても、10億円稼いだ、大きく負けた、事業をはじめたなど、やめるきっかけはいくらでもあります。そんな中、いつまでも相場に対して好奇心を持ち続け、勝っても負けても休まずたゆまず毎日勝負を続けたことで、結果的に高みに登ってきたのがcisさんです。そのエピソードには、投資だけでなく、人が生きていく上で根幹になる大事なことがつまっているような気がしました。
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一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学cis(著)KADOKAWA
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