ACIのパブリッククラウドへの拡張、エッジ向けHCIなど「データの存在する場所をデータセンターに」
シスコ、ACIのAWS/Azure対応など“Data Center Anywhere”製品群
2019年02月12日 07時00分更新
シスコシステムズは2019年2月6日、SDNソリューション「Cisco ACI」のパブリッククラウド(AWSやAzure)への拡張、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)製品「Cisco HyperFlex」の小規模拠点への展開対応など、データセンター関連製品群の拡張/強化を発表した。「データが存在し、アプリケーションが展開されるあらゆる場所にデータセンターを拡張する」という“Data Center Anywhere”ビジョンに基づく動き。
同日の発表会では、今回の製品強化で実現することに加えて、今後の進化の方向性も含めた説明が行われた。
ACIのパブリッククラウドへの拡張、エッジ向けHCI、マルチクラウド統合管理など
今回は、ACIのパブリッククラウドへの対応拡大、最小構成を2ノードに削減して導入を容易にした「HyperFlex Edge」、そしてマルチクラウド環境のコスト/運用を最適化するオーケストレーションソフトウェア「CloudCenter Suite」の3つが発表されている。
ACIでは、オンプレミスデータセンターと同一のポリシーをAWSやAzureに適用できるよう、パブリッククラウド版のACIコントローラー(Cloud APIC)の提供を開始した。Cloud APICを介して、パブリッククラウド側のネイティブ機能(たとえばセキュリティグループなど)を使って、オンプレミス側と同等の環境を構成できる。シスコでは、今後も対応するパブリッククラウドサービスを拡大していくとしている。
さらにシスコでは、ACIの適用範囲をアプリケーションレイヤーやキャンパスネットワークまで拡張する方針だ。今回ACIは、アプリケーションパフォーマンス監視の「AppDynamics」との連携によるネットワーク健全性の維持、あるいは「Cisco DNA Center」「Cisco ISE(Identity Services Engine)」との連携によるユーザー/デバイスベースのポリシー/アクセス制御などを提供できるようにした。
HCIのHyperFlex Edgeは、最小構成をこれまでの3ノードから2ノードに削減することでエントリーポイントを引き下げ、ブランチオフィスやエッジへの導入を容易にする製品だ。より正確に言うと、HyperFlex Edgeはクラウド型管理プラットフォームの「Cisco Intersight」が3ノード目(監視サーバー)の役割を代替する仕組みだという。なお、Intersightによってリモートからの一元管理や、セットアップの自動化などのメリットも享受できる。
もうひとつのCloudCenter Suite(旧CliQr)は、マルチクラウド環境におけるオペレーションを自動化/簡素化する機能を備えるとともに、インドのコンピュート・アイオー(Cmpute.io)買収で獲得した、最もコスト効率の高いクラウド選択と利用を支援する「Cost Optimizer」機能も提供する。機能によりソフトウェアライセンスは3レベルに分かれており、SaaSとしての提供も予定している。
なお今回の発表では新しい「Cisco Enterprise Agreement(EA)」ライセンスも発表されている。これは3年間/5年間のライセンス契約1つで、Cisco ACI、Cisco HyperFlex、Cisco Intersight、Cisco Tetrationを含む7つの製品群を利用できるというもの。物理/仮想/クラウド間のライセンスポータビリティも実現する。
今回発表された製品群および新ライセンスは、日本ではいずれも2019年上半期からの提供開始予定となっている。
データセンターは「データが存在するあらゆる場所へ」拡大する
米シスコでデータセンター製品のマーケティングシニアディレクターを務めるトッド・ブラノン氏は、データセンター市場の変化としてアプリケーションの分散化、データの発生場所の分散化、開発者がマルチクラウド環境ニーズなどを挙げて、「データはもはや集中化されていない。したがって、データセンターは『データが存在するあらゆる場所』へと拡大していく必要がある」と説明した。
そうした変化に対応するのが、シスコの“Data Center Anywhere”ビジョンである。今回の発表は、そのビジョンに基づいてマルチクラウド環境でのシームレスな一貫性を担保する“ACI Anywhere”、エッジへのワークロード拡張と一元管理を実現する“HyperFlex Anywhere”を推し進めたものになる。