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「Veeam Availability Suite 9.5 Update 4」リリース、クラウド間を移動できるライセンスも

ヴィーム、多方面にわたるマルチクラウド対応強化を発表

2019年01月31日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ヴィーム・ソフトウェア(Veeam Software)は2019年1月29日、クラウド対応のデータ管理/保護ソフトウェア製品の最新版「Veeam Availability Suite 9.5 Update 4」、および新製品「Veeam Availability for AWS」などを国内発表した。Availability Suite最新版ではマルチクラウド環境への対応を強化し、柔軟なデータモビリティやコスト効率の高い長期間のデータ保持などを実現している。

今回発表の新バージョン/新製品では、マルチクラウド環境に対応するデータ管理機能を強化している

 Availability Suite 9.5 Update 4では、バックアップ先ストレージ(SOBR:Scale-Out Backup Repository)内の新たなティア(ストレージ階層)として、事実上無制限のスケーラビリティを持ち、コスト効率の高いパブリッククラウドのオブジェクトストレージを利用する「Veeam Cloud Tier」が追加された。

 具体的には、AWSの「Amazon S3」、Microsoftの「Azure Blob Storage」、IBMの「IBM Cloud Object Storage」、さらに他社のS3互換オブジェクトストレージにネイティブ対応し、Cloud Tierとして簡単に活用できるようになっている。なおCloud Tierを利用する場合も、容量ライセンスなどの追加コストはかからない。

バックアップリポジトリに新たなティア(ストレージ階層)として「Veeam Cloud Tier」が追加できるようになった。利用時に追加ライセンスコストがかからない点もメリット

 また、オンプレミス/クラウドベースのあらゆるバックアップ済みワークロード(仮想マシン)を、クラウド環境へ簡単に移動し、自動変換、復元できる「Veeam Cloud Mobility」が強化された。従来からのAzureに加えて、AWS、Azure Stackの各環境にも対応する。これにより、データのポータビリティが大幅に高まるほか、クラウドDRによる事業継続性向上も容易に実現できる。

 バックアップデータからテスト/開発環境に活用する「Veeam DataLabs」も、バージョンアップによりセキュリティとコンプライアンスの機能が強化されている。具体的には、バックアップからのリストアに際して、本番環境ではなくいったんステージング環境(DataLabs)にリストアを実行する「Staged Restore」機能によって、コンプライアンス(GDPRなど)上の問題がある個人データのクリーンアップ、システム設定の修正などを実行したのちに本番展開できる。また、バックアップデータにマルウェアスキャンを実行できるインタフェースを提供し、本番環境へのマルウェア侵入を防ぐ。

「Veeam DataLabs」の機能強化ポイント

 新製品となる「Veeam Availability for AWS」は、ヴィームが買収したN2WSが有するAWSワークロードのクラウドネイティブなバックアップ/リカバリとヴィームのリポジトリを統合する機能を提供する。これにより、AWSスナップショットを活用したエージェントレスでのデータ保護/インスタントリカバリを実現するほか、AWSインフラ外へのバックアップ分離によるマルチクラウドモビリティの実現とコスト節減も可能にする。

 なお、ライセンスもマルチクラウド環境のポータビリティに対応するべく、新たに「Veeam Instance Licensing」が用意された(2月より販売開始)。これは、オンプレミスの物理環境、仮想環境、パブリッククラウド環境の間を移動するワークロードに追随して、ヴィームのライセンスも自由に移動できるというライセンス形態だ。これにより、追加のライセンスコストなしで顧客のマルチクラウド戦略をサポートするとしている。

顧客のマルチクラウド利用ニーズに対応し、ソフトウェアのライセンスも“ポータブル”に

 そのほか、ヴィーム製品をクラウド/マネージドサービスとして提供するBaaS(Backup-as-a-Service)/DRaaSプロバイダー向け製品として「Veeam Availability Console v3」がリリースされている。スケーラビリティの大幅な向上、APIサポート拡張によるシステム統合の強化などが発表されている。

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