ゲルシンガーCEOらがユースケース紹介、先行導入したケイ・オプティコムはPoC結果やアドバイス語る
「VMware Cloud on AWS」東京リージョンでついに提供開始
2018年11月13日 07時00分更新
ケイ・オプティコムがDCリソース拡張のために採用、PoCの結果を紹介
日本法人社長のロバートソン氏は、東京リージョンでのVMC on AWS提供開始に伴って、国内販売パートナー20社からの販売も開始すると発表した。また、国内数社のユーザー企業がVMC on AWSを先行導入しPoCを行ってきたことも紹介した。
ゲスト登壇した先行導入顧客の1社、ケイ・オプティコム 技術本部の福井希佳氏は、データセンターリソース拡張のためにVMC on AWSを選択するに至った事情や、オレゴンリージョンのサービスを利用したPoCの結果、利用検討するユーザーへのアドバイスを語った。
同社では、2008年からVMware製品による社内システムの仮想化をスタート。2013年からは社内システム全サーバーの仮想化と統合を進め、2017年におよそ90ホスト/900VMの仮想化統合を完了している。これから2020年に向けての目標が「クラウド活用」だ。
社内システムを統合したケイ・オプティコムの仮想化基盤は、急なリソース増強要求に応えられない、Excelベースで行っていた案件管理や構成管理が追いつかないといった課題を抱えていた。そこで同社では、オンプレミス環境の定期的な増強では足りないリソースキャパシティをパブリッククラウドで補い、このハイブリッドクラウド環境の包括的な案件管理/構成管理は「ServiceNow」のサービスポータルを通じて行う計画を立てた。
だが、その実装を検討していくうちに「課題が出てきた」と福井氏は語る。どのパブリッククラウドを利用するにせよ、利用者(社内開発者)にはそのクラウド独自のスキルセットが求められる。さらに仮想マシンやOSの違いによるアプリケーションの可搬性の問題、データの複製、IPアドレスの変更といった部分でも手間がかかる。「現場にこうした負担を求めるのは間違っている、と考えた」(福井氏)。
そこで目を付けたのが、オンプレミスの仮想化環境と同じVMware環境が利用できるVMC on AWSだった。ケイ・オプティコムでは今年3月、北米オレゴンリージョンで提供されているVMC on AWSを利用してPoCを実施した。太平洋をまたいで社内仮想化環境とVMC on AWS環境をインターネット(L2VPN)接続した環境だったが、要件であったダウンタイムなしでのvMotionに成功し、パフォーマンスも「社内環境より優秀だった」(福井氏)という。
社内と同じVMware環境ということで、利用者のスキルセット、アプリケーションや仮想マシンの可搬性、IPアドレス変更といったさまざまな課題も解決された。残る課題はデータの複製だが、これは解決できると考えていると福井氏は述べた。PoCで良好な結果が得られたため、同社ではVMC on AWSの採用を決めている。
これからVMC on AWSの採用を検討する顧客へのアドバイスとして、福井氏は「自社がどういう目的で使うのか、事前にユースケースを明確にすること」と「オーバーレイネットワークに詳しい技術者を確保すること」の2点を挙げた。同社のようにオンプレミス/クラウド環境間のネットワークを統合する場合、オンプレミス環境側を合わせる必要があり「PoCでもやはりネットワークで苦労した」ためだと説明した。
発表会の最後にロバートソン氏は、日本企業ではまだミッションクリティカルなワークロードのクラウド移行が進んでいないが、そうしたワークロードの多くがオンプレミスのVMware環境で稼働しているため、「当社の顧客はVMC on AWSで初めて、大規模なワークロードをクラウドに載せることになるのでは」と語った。
「これから1年間ほど(顧客各社の)長いPoCフェーズに入ると思うが、来るときには大きな波が来るだろう。現在は『ヴイエムウェア製品のおかげで、やっとミッションクリティカルなワークロードをクラウドに載せられる』という顧客の声が聞こえてくる。もしかしたら、(東京リージョンのサービスローンチは)米国市場よりもタイミングがフィットしているかもしれない」(ロバートソン氏)