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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第481回

業界に多大な影響を与えた現存メーカー System/370の投入で黄金期を迎えたIBM

2018年10月22日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII.jp

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System/370を仮想記憶に対応できるよう改修
あわせてトランジスタから集積密度の高いICに移行

 仮想記憶の技術は、“System/370 Advanced Function”として1972年8月に発表された。先に書いた通りSystem/370 Model 155/165/195はそのままではこれに対応できない。そこで仮想記憶に対応できるよう改修したSystem/370 Model 155-II/165-IIというモデルが企画され、最終的にModel 158/168として後追いで発売されている(Model 195にはなし)。

 もっとも、System/370 Advanced Functionではまだ仮想記憶を導入した「だけ」で、物理アドレスは24bitのままである。この仮想記憶のメカニズムはDAT(Dynamic address translation)という名称がついていた。

 これが1981年10月に登場したIBM 3033とIBM 3081では“Extended Real Address”として物理アドレスを26bitに拡張し、さらに1983年に登場したS/370-XA(System/370-eXtended Architecture)でやっと31bit対応が完了している。

 ハードウェア構成という観点では、一部ICを利用した機種もあったが、基本トランジスタベースだったSystem/360に対し、System/370ではICが利用され始めた。もっともSystem/360でも、途中からSLT(Solid Logic Technology)なる集積パッケージが利用されている。今から見れば非常に集積密度の低いICということになる。System/370ではこの集積密度をずっと上げた、IBM MST(Monolithic Systems Technology)が採用されている。

トランジスタや抵抗、コンデンサーなどを(当時としては)極小の基板にまとめたのがSLT。このSLTを基板上に実装することで回路を構築した

IBM MST。中央の小さな、斜めに実装されているのが回路部であるが、まだ高密度配線は不可能な時代なので、そこからピンを引き出している格好だ

 当初はMSTのモジュール1つあたり6つほどの回路が組み込まれていたが、最後の方になると40回路ほどを組み込んだモジュールも出ていたそうで、これにより回路の高密度化や高速化、製品の安定化などが図られた。もっとも素子そのものはまだバイポーラトランジスタがベースなので、それなりに消費電力も多く、それほど高速というわけでもなかった。

 DATを搭載したラインナップはローエンドがModel 115/125、ミッドレンジがModel 135/138/145/148、ハイエンドがModel 158/168となり、これで1977年までを戦うことになる。戦う相手はAmdahl Corporationであって、絶対性能あるいは性能/価格比ではAmdahl Corporationのマシンの方が若干ではあるが上だった。これは連載439回に書いた通りだ。

 ただ経営面で見ると、ほぼ5年で2倍という売上をこのSystem/370の時代で維持しており、Amdahl Corporationを圧倒している。成長具合で言うなら、1970年には実質売上が0だったのが、1977年には3億2100万ドルを売り上げたAmdahl Corporationの方がもちろん凄まじい。

IBMのSystem/370時代の売上
1965年 37億5000万ドル
1970年 75億ドル
1975年 144億3000万ドル

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