プリンストンが販売する高機能ストレージ「Drobo」を活用しよう 第42回
DroboのBeyondRAIDって何がすごいの?
Droboが柔軟かつ安全な理由は独自RAIDの仕組みにあった!
2018年10月29日 11時00分更新
Droboの耐障害性が高い理由
ドライブが3台以上の場合はRAID5相当の冗長化となり、データとパリティデータ(誤り訂正符号データ)が複数台のドライブに分散して記録される。簡単に説明すれば、「0101 1111」というデータがあった場合、1台のドライブに「0101」、もう1台に「1111」が記録される。
その際、各桁の1の和が奇数の場合は1、偶数の場合は0として目印がつけられ、3台目に「1010」と記録される(これがパリティと呼ばれる)。2台目のドライブが故障して読み出せなくなった場合、1台目に記録された「0101」とパリティの「1010」から、2台目に記録されていたのが「1111」とわかるので、容易にデータが復元できるというわけだ。
RAID6はパリティを2重に記録するため、2台のドライブが同時に故障してもデータを復元できる。その代わり4台以上のドライブが必要となる。
実際にDroboで3台のHDDを搭載した後、稼働中に1台を取り外してみると、取り外したベイのLEDが消灯し、残りのベイのLEDが緑と黄色に点滅しはじめる(Drobo Dashboard上では「データ保護:進行中」と表示される)。この状態で新たにドライブを追加すると、そのLEDも緑と黄色に点滅しはじめ、リビルドが完了すると緑色の点灯に変わる。リビルドの最中はアクセススピードが落ちるものの、問題なくデータを読み書きすることが可能だ。
ここまでは、他社のRAIDもほとんど同じだが、Droboの「Beyond RAID」の場合は、データをドライブに書き込む際にもう少し複雑な処理が行われている。
図を見るとわかるように、ファイル(=オブジェクト)をDroboにコピーする際、そのオブジェクトに識別のためのIDが付加される。続いてオブジェクトは「チャンク」と呼ばれるひとまとまりのデータに分けられ、それぞれのチャンクはパリティデータとともに各ドライブに分散して記録される。
その際、各チャンクからデータの整合性を確認するための「ハッシュ値」と呼ばれる短いデータが算出され、オブジェクトIDなどとともに対照表(オブジェクト テーブル)に記録される。また、チャンクがどのドライブのどの場所に保存されたかも対照表(チャンク テーブル)に記録される(そのため、どれだけデータ量が膨大でも高速に読み出しが可能)。
データを読み出す際は、これらの対照表を基にチャンクの有効性が確認される。もしチャンクとハッシュ値を比較して合わない場合は、データが壊れていることになるため冗長データから(ドライブが2台の場合はミラーから、3台以上の場合は分散したデータから)復元される。
HDDなどのストレージは、さまざまな理由で気づかないうちに保存データが壊れてしまうことがあるが(サイレント・データ・コラプションと呼ばれる)、Droboではドライブの物理的な障害だけでなく、そういった検出が困難なデータ破損などからもほとんど装置任せで復元できるというわけだ。
他社の場合も、比較的最近のファームウェアでこうしたデータ破損に対応しつつあるため、現在ではDroboだけの優位性とは言えなくなっているが、データの安全性に関しては1日の長があるとは言えるだろう。
(次ページ、「Droboはなぜ柔軟性の高いドライブ構成が可能なのか?」に続く)
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