「チプカシ」に栃木レザーのヌメ革バンドを
組み合わせたカスタマイズモデルを衝動買い
昭和の時代に、決して目立たないどこにでもいるサラリーマン親父の腕時計として確固たるそのポジションを確立していたのは、超安価なカシオのデジタルウォッチだった。
そんなカシオの(デジタル)ウォッチのスタンダードモデルが、なぜか平成生まれの若年層に“チプカシ”(Cheap CASIO)と呼ばれ、人気が沸騰したのは3年ほど前だったと記憶している。
ちょうど腕時計業界に再来したミニマルデザインブーム。「G-SHOCK」シリーズではないカシオのウォッチはシンプルでチープ、時代が変われば少しレトロフューチャーなデザイン、ほかのアイテムとコーディネイトしやすいベーシックな雰囲気だ。
加えて、お好みの1本を選べるデジタルとアナログのラインアップの豊富さ。そして、昨今は世界の高級腕時計は天を突き抜けるような高価格になり、腕時計のピンキリ価格差は過去に例を見ないほど広がり、ピンはすでに高嶺の花だ。
単に時刻を知るだけならスマホで事足りる時代に、腕時計に割ける予算の縮小が重なり、あっという間にファッションやTPOに合わせて使いまわせる“チプカシ”と呼ばれる腕時計の新セグメントが登場した。
ふつうの腕時計メーカーなら決して使いたくない“チープ”(安っぽい)という「冠ニックネーム」の製品が、大ヒットするという異変が発生したのだ。そんなチプカシも、すでにブーム到来から5年近くが経とうとすると、第三者によるさまざまなアドオン(改造・改善)市場が登場してくる。
もちろん、貧乏な腕時計マニアの筆者もブーム到来のはるか前からカシオのスタンダードウォッチのユーザーだ。10年近く前に他界した親父も、長年「A164W」の愛用者だった。その形見の時計もすでに何度かバッテリーを交換し、今も筆者の愛用腕時計のひとつとして活躍している。
比較的珍しいフォントで「ALARM CHRONOGRAPH」「WATER RESIST」と記述されている親父の形見のA164W。恐らく1990年代のモデルだと思うが……私が引き継いでから2回バッテリー交換している
それ以外のチプカシでは、1000円以下で買える時もある「F-91W」と、これぞチプカシの代表とも言えるデザインの「A158WE」も愛用している。この2本に関しては一時期、売り切れて市場から無くなったことがあったので、今は、日常使い以外に両モデルともそれぞれ1本の予備機を確保している。
先月末、ネットで何かおもしろいモノはないかと恒例のガジェット探しをしていたところ、愛用のA158WEのステンレスブレスレットを昨今流行の「栃木レザー」のヌメ革ベルトに交換したハンドメイドのカスタマイズモデルを発見した。
A158WEは、デジタル文字盤フレームのゴールドカラーがユニークなモデルだ。そんなA158WEだが、ステンレスブレスレットを栃木レザーのヌメ革ベルトに交換するだけでまったく別の腕時計のような雰囲気になる。重さも、実測で44gから21gと半分以下になる。
さっそくネットでポチり、届いた「A158WE・改(革の「A158」専用ベルト い natural)」は期待を裏切らないなかなか素晴らしい仕上がりだった。まだまだ新しいヌメ革の色は文字盤フレームのゴールドより淡い色で、今後、経年変化でなかなか良い味を出してくれそうな予感がする。
商品を販売しているのは「KANABUN KOUBOU(かなぶん工房)」。販売スタイルは、A158WEのベルト交換を済ました後のベルト変更商品として、単価5380円で販売するというスタイルだ。栃木レザーのヌメ革ベルトだけを購入してDIYを望むユーザーも居るとは思うが、あくまで腕時計の販売というスタイルをとっている。
なので、ベルト交換後に一時的に使わなくなるステンレスブレスレットは商品に同梱され、保証書や取説、パッケージ部材などもオリジナルのA158WEのものが完璧に付属する。追加のものとして、ベルト制作と取り付けを行ったKANABUN KOUBOUの取説と保守の書面が付属する。

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