ミニチンゲンサイとie・naの相性は若干悪い
最後に、1ヵ月ie・naでミニチンを育ててみた感想。初心者なので、まず短時間で収穫できることからミニチンゲンサイを選んだが、サイズの小さな植物に対して、ちょっと装置が大きかった。狭い面積で大量に収穫できるのがミニチンのメリットらしく、もっと小型の装置でも良かったはず。
アクティブ型水耕栽培のメリットは、ほかの方法で育ててみないことにはわからないが、懇切丁寧なマニュアルや、ポンプの低い動作音も含めて、とても扱いやすかった。1万円前後の値段で買える入門キットとしては、本格的でお買い得だったと思う。
ただ、ほぼ正方形の栽培プレートは、太陽の入射角によって影ができ、窓から遠いポッドはどうしても光の当たる時間が短くなってしまう。ここは長方形でポッドが一列に並んでいるものの方が合理的。ie・naは、真ん中にポッドが1個しかない果菜プレートでミニトマトのような果菜を育てるか、あるいは人工照明に向いた形状だと思う。
研究の余地があると思ったのは培地。例のスポンジに根が入り込めず浮いてしまう現象は、ミニチンの根をはるパワーに対して、スポンジが強すぎたのではないか。培地から伸びた根の様子を見ると、スポンジを貫通するエネルギーは結構なもののように見える。
ミニチンに聞いたわけではないのでわからないが「土が植物の根の生長を制限している」という野澤重雄さんの考えに照らせば、このスポンジもどうにかしてやった方が、育てる側の気持ちとしてはスッキリする。
総合DIY&ホビーとしての水耕栽培
植物の成長は化学反応そのものだから、与えられた条件を正直に反映して、良くなったりダメになったりする。その最適値を探り、どう安定させるかも水耕栽培の魅力だ。だから水耕栽培とデジタル系の技術は相性がいい。
実際、工業的な植物工場は、各種のセンサーやアクチュエーターがネット越しのコンピューターと繋がって、オートメーション化している。一般家庭でも、カーテンの開け閉め、LED照明の点灯、扇風機やエアコンのオンオフ、溶液の濃度やpHの管理、給水などをオートメーションでできたらおもしろいだろうと思う。
そうしたシステムは一般には市販されていないから、さらにおもしろい。栽培槽のようなハードから始まって、LEDやセンサー周りのプログラミングのようなDIY技術を総合的に投入できる。そうしたスキルを持つ人には、もう間違いなく楽しいに違いない。
ちなみに大したスキルのない私は、災害による停電リスクのないパッシブな水耕栽培と同時に、Amazonでポチった2000円の超音波霧化器(英語で言うとultrasonic analyzer!)と、ダイソーで買ってきた園芸用品で、簡易エアロポニックシステムを実験中。果たしてどうなることやら。