不思議な体験!? 「ナビアプリをカーナビに全画面表示する」
もう1台のAndroidスマホではNAVITIMEがSDL上で動いていた。操作は通常のカーナビと同様、目的地を設定し、道案内をさせる形となるが、設定などの操作はすべてカーナビ上で行なわれ、スマートフォン側はロゴが表示されているのみとなる。GPSはスマートフォンに搭載されたものを使用し、音声などもアプリ内の音声を車内スピーカーから出力する形となる。
こちらはプロジェクションモードを使ったデモとなっていて、スマートフォンアプリが表示する地図をカーナビ画面に表示させている。ならばカーナビを取り付けず『スマートフォンを車内に置けばいいのでは?』と考える人もいるだろうし、実際スマートフォンをそのように使っている人を見かけることもある。
しかし、カーナビでは時速7kmを超えると操作を受け付けない仕掛けが施されているのに対し、スマートフォンのナビゲーションアプリでは速度に関わらず操作できてしまう。そこでSDLでは、安全面を確保しながら、より便利にスマートフォンを活用する方法を採っている。
スマートフォンの画面を見る、文字を読ませるといった行為はさせず、音で聞かせる、音で操作するという形を採用することで、運転動作は妨げない。NAVITIMEの地図画面のようにタッチなどが必要な操作は車載器の画面が肩代わりするので、スマートフォンの画面をタッチする必要は一切ない。
SDLではBluetoothでの接続もできるが、アプリ側の画像を表示するプロジェクションモードでは、転送速度の関係もあり、USB接続が求められる。しかしこれもBluetoothのわずらわしい接続設定が不要なこと、さらに、USB接続をすればスマートフォンへの充電もできるという利点がある。
そしてそのままスマートフォンにダウンロードした音楽を車中で聴いたり、SNSでつながっている人とのコミュニケーションを図れたりと、スマートフォン内の「財産」を有効活用できるわけだ。
車とアプリが連携する未来は可能性たっぷり
スマホアプリ自体は特別なアプリをダウンロードするのではなく、App StoreやGoogle PlayからSDLに対応しているアプリをインストールするので、ユーザーに余計な手間はかからない。もちろんどのようなアプリがSDLに対応してくるかによるが、すでに80社以上がコンソーシアムに登録しており、今後SDL対応アプリは増えていくだろう。
SDLには車側の情報、たとえば走行距離やガソリン残量といったデータをアプリ側に渡す仕組みもあるので、そうした情報を組み合わせたアプリも登場すると思われる。ガソリン残量と走行状況をもとに、ガス欠する前に立ち寄れるガソリンスタンドを案内してくれたり、走った場所・距離に応じてインセンティブがもらえるようなドライブゲームなど、様々な可能性が秘められている。
車の運転をより安全に、そして、生活の一部となっているスマートフォン内の財産をより楽しく、より便利に活用できるSDL。対応アプリがどんどん増えて、車の運転そのものが快適に、楽しくなっていく、そんなことを期待させる規格だ。
あなたが作ったSDL対応アプリを触りたい!
個人・法人問わないアプリコンテスト応募受付中
SDL対応アプリを広く募集する「クルマとスマホがつながる SDLアプリコンテスト」開催中。応募締切は1月31日、審査結果は2月上旬発表予定。学校関係者向けには開発キットを無償配布するプログラムが用意されている。詳細についてはコンテンストの公式サイトを参照のこと。なお、アプリの著作権は応募者に保持される。
【コンテストの開催概要】
■名称:クルマとスマホがつながる SDLアプリコンテスト
■主催:SDLアプリコンテスト実行委員会
(事務局:角川アスキー総合研究所)
■協力:SDLコンソーシアム日本分科会
■募集内容:SDLを利用したAndroid、またはiOSアプリ
■応募期間:2018年10月3日(水)~2019年1月31日(木)
■応募方法:コンテスト専用サイトにて( http://sdl-contest.com/ )
※応募には、下記を提出してください。
(1)応募作品の動きがわかる動画および画像
(2)作品内容の説明資料(PDF)
■受賞発表:
・事務局による事前審査の結果発表は2019年3月上旬を予定しています。
・最終審査会を兼ねた受賞発表・表彰式は2019年2月末に予定しています。
・事前審査通過者は、最終審査会でプレゼンテーションをしていただきます。
■賞・賞金等:グランプリ 賞金50万円+副賞
特別賞 賞金10万円×5本
(提供:SDLコンソーシアム)
この連載の記事
-
第10回
スマホ
未来の車とバイクを楽しく安全にするアイデアが集結 -
第9回
sponsored
車両情報+ニュース読み上げアプリを作ってみた! -
第8回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その4~白紙のiOSプロジェクトから作るSDLアプリ -
第7回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その3~Android版のSDLのAPIを使いこなす -
第6回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その2~アプリ開発環境を整える -
第5回
sponsored
クルマがしゃべる未来って? ロボホンとクルマをつないでみた -
第4回
sponsored
SDL対応アプリ開発環境の構築その1~車載機エミュレーターを作成する -
第3回
sponsored
トヨタ・スズキ・LINEのキーマンが語る、SDLとスマホが作る車・バイクの未来 -
第1回
sponsored
車・バイクとスマホを連携させるSDL規格の基礎知識 -
sponsored
車とスマホがつながるSDLの世界 - この連載の一覧へ