歩きスマホに勝るとも劣らない危険行為が「運転スマホ」。実際、平成29年警察白書によれば道路交通法違反のうち14.3%が運転中の携帯電話等使用だという(最高速度、一時停止に次ぐ第3位)。こうした現状を改善するための一手として最近俄然注目を集めるのが「SDL(Smart Device Link)」。これは一体何なのか? じつはガジェット好きのASCII.jp読者にも無関係じゃない。さっそく基礎知識から紹介しよう!
Q:SDLっていったい何?
A:四輪/二輪車でスマホを安全・効果的に利用するための規格
最近「SDL」という略号を見かけたことがあるだろうか? 英字3文字なので、他にも「同音異義語」がいろいろとありそうだが、ここで取り上げるSDLは、「Smart Device Link」のこと。と言われても、「スマートなデバイスのリンクって何?」と、また新たな疑問が湧き上がってくるだけかもしれない。
分野を絞れば、この語の意味するところもだいぶ見えてくるだろう。SDLは、主に車とスマホの連携を狙ったものだ。ということは、この場合の「Smart Device」は、スマホはもちろん、車側に搭載されるデバイス、あるいは車そのものも指しているものと考えられる(図1)。いずれにしても、目的は車の中でスマホを安全に、かつ効果的に利用するための仕組み、それを実現するための規格がSDLなのだ。
SDL解説ムービー
それなら、AppleのCar Playや、GoogleのAndroid Autoと同じようなものか、と思われるだろう。考え方や実現方法には、それぞれ違いがあったとしても、大きな目的としては、似たような領域をカバーしていると言ってよいだろう。
しかし、大きく異なる点もある。それは、Car PlayやAndroid Autoが、スマホのOSメーカーが主導するものであるのに対し、SDLは多くの自動車メーカー、機器メーカー、ソフトウェア企業、アプリ事業者などが参加するコンソーシアム主導で動いている規格だということだ(図2)。
つまりSDLは、iOS、Android、その他にも対応し、スマホのOSや機種に依存しないシステムを提供することができる(図3)。Car PlayやAndroid Autoの場合、メーカーや車種によって、そのどちらかをサポートする車はあっても、両方に対応するものは希だ。ということは、極端な話、現在契約しているスマホのOSによって、次に購入する車のメーカーや車種が限られてしまう、という理不尽な状況も考えられる。
SDLが普及すれば、そのようなことは気にせずに、どのメーカーのどの車を選んでも、手持ちのスマホと連携して、最大限の効果が期待できるようになる。将来、カーシェアがもっと普及すれば、SDLの装備は、さらに大きな意味を持つようになるはずだ。
もう1つ付け加えると、SDLがカバーする「車」には、これまでのシステムが主に対象としている4輪車だけでなく、2輪車も含まれている。もちろんコンソーシアムには、多くの2輪車メーカーも参加している。これは、SDLの今後の発展にとって、重要なポイントとなる可能性が高い。
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