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12K映像をリアルタイム中継 ドコモが見せる5Gの実力とは

2018年08月23日 10時00分更新

文● 佐野正弘 編集●南田ゴウ/ASCII編集部

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東京五輪の前に5Gを体験できる可能性も

 ドコモは8月22日、本社ショールーム「docomo Future Station」で次世代のモバイル通信方式「5G」に関する展示を報道陣向けに公開。5Gを活用した映像配信や、新しいスポーツ観戦スタイルの提案など、5Gを中心に同社が開発している技術の数々を披露した。

 5Gは理論値で最大20Gbpsもの通信速度を実現する「高速大容量」や、ネットワークの遅延が1ミリ秒以下と非常に小さい「低遅延」などが大きな特徴とされている。その特徴を生かした展示として紹介されたのが「5G Vision」だ。

 これは東京・品川にあるNTTドコモのビルに設置された4台の4Kカメラの映像をリアルタイムに合成し、ショールーム内に設置されたワイドビジョンにライブ配信するというもの。ワイドビジョンはソニー製のクリスタルLEDディスプレーを複数組み合わせた非常に大きなもので、その解像度はなんと12K相当(11520ピクセル)。

12K相当の映像を、5Gを経由してライブ中継する「5G Vision」。人が歩いている様子が見えるほど高精細な映像を、遅延なく伝送できる様子を確認できる

 現在は試験環境での実施となるため、5Gによる伝送区間はショールーム内の一部に限られるが、それだけ高解像度の映像を、遅延なくライブ配信できるのは5Gだからこそ。実は5G Visionの映像伝送には数ミリ秒の遅延が発生しているそうだが、その主因は映像の合成や動画のエンコード・デコード処理に時間がかかるためで、5Gの伝送による遅延は1ミリ秒以下と、ほとんど影響を与えないレベルとのことだ。

5G Visionの映像伝送に用いられている、5Gの基地局(奥)と移動局(手前)。ともにノキア製の機器を用いており、28GHz帯の周波数帯を利用しているとのこと

 ドコモは、その5Gによる商用サービスを、東京五輪が実施される2020年に提供することを目指している。そこで今回公開されたのが、新しいスポーツの観戦スタイル「5G Experience」だ。

2017年11月に実施された車いすフェンシングの試合会場を再現した「5G Experience」

 これは、多数の端末を同時に接続できる5Gの特徴のひとつつ「多接続」を生かし、車いすフェンシングの試合を複数のカメラで撮影し、視点を切り替えながらその中継を楽しめるというもの。ショールームでは2017年11月13日にドコモが実施したプロジェクト「FUTURE-EXPERIMENT」の第2弾として実施されたものを再現しており、元フェンシング選手の太田雄貴氏と、リオ2016パラリンピックの金メダリストであるベアトリーチェ・マリア・ヴィオ選手との試合の様子を、専用のタブレットを用いて視点を切り替えながら楽しめる。

専用のタブレット端末を用い、複数の視点を切り替えながら試合を視聴することが可能

 会場には、車いすフェンシングの試合会場も再現されており、カメラのある場所にディスプレーを設置。会場とディスプレーをうまく重ね合わせるような形で視聴することで、現場にいるかのような感覚も味わう仕掛けも用意されていた。

 このほか、会場にはパートナー企業と5Gを活用して取り組まれているサービスの事例をいくつか展示。スポーツに関する取り組みとしては、フジテレビジョンと共同で開発した、5GとARを活用し、タブレットを介し自由な視点でスポーツ観戦を楽しめる「ジオスタ」が公開されていた。

フジテレビジョンと共同で開発した「ジオスタ」。専用のテーブルにタブレットをかざすと、その上でF1レースが再現され、好きな場所からレースの様子を楽しめる

 また、直接5Gに関連しているわけではないが、大日本印刷などと共同開発した、セルフ健康測定端末「ヘルスキオスク」のデモも公開。9つの測定項目のうち、手のひらを13秒乗せるだけで、脂肪代謝の指標となる「アセトン」と、飲酒の指標となる「エタノール」の2つを同時に測定できる機器を試すことができた。

専用の機械に手を13秒乗せるだけで、脂肪の代謝と飲酒のチェックができる、「ヘルスキオスク」の一部も公開

 ドコモ経営企画部 5G事業推進室室長の太口努氏は「東京五輪は重要なイベントであり、マイルストーンだと考えている」と、2020年の商用サービス実現に向けた意欲を示す。しかしながら、一方で東京五輪が5Gのサービスを提供する最初のタイミングとは限らないとも回答。まだ具体的な考えはないとしながらも、5Gのアピールに関しては「2020年を待たずにできることがあれば考えていく」と話しており、東京五輪よりも前に5Gに関する何らかの取り組みを見ることができるかもしれない。

ドコモ5G事業推進室室長の太口氏は、5Gの商用サービスを展開する上で「東京五輪は重要なイベント」とコメント

 5Gのエリア展開に関しては、従来の4Gまでとは異なり、広範囲のエリアを面的にカバーしていくのではなく、4Gのエリアの中に上乗せする形で、スポット的にエリア展開していく考えも示す。そうしたことから、5Gのエリアを早期に展開するのは消費者のニーズが高い都市部だけに限らないという。

 太口氏はドコモが沖縄に常設の5G技術検証環境「ドコモ5Gオープンラボ OKINAWA」を展開することを例に挙げ、「沖縄を元気にするための施策を展開するため、5Gのエリアしていくという発想もある」と語る。ほかにもパートナー企業や自治体などとの取り組みに応じて、特定の場所にスポット的に5Gのエリアを構築していく可能性があるとのことだ。

 なお、前日の8月21日には、内閣官房長官の菅義偉氏が携帯電話の料金について「4割程度下げる余地がある」と言及したことが大きな話題となった。この発言が5Gに与える影響について問われた太口氏は、「今の料金水準で、というのは事業に対するインパクトが大きい。深刻に受け止めている」と回答。5Gでは大容量の良さを感じてもらえる料金体系を考えていくと語ったが、具体的な額については議論を重ねていくとしている。


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