■開発もデプロイも課題は山積み
そこで、サマータイムに対応すべくソフトウェアを修正することになります。プログラミングの経験がある人なら、修正するコードの行数はそれほど多くないと感じるかもしれません。
しかしソースコードを修正するには、仕様を決める必要があります。これまで日本に存在しなかったサマータイムという概念ができることで、業務にどのような影響が及ぶのか、調査するところから始めるわけです。その影響範囲は国内だけでなく海外にも広がるでしょう。
いざソフトウェアを修正するとなっても、課題は山積みです。ソフトウェアが古く、仕様書やソースコードが行方不明になっているとか、ロストテクノロジーと化した言語やライブラリが使われており、現場の誰もが解読できないといった事態もありえます。
開発が無事に終わっても、本番環境のソフトウェアを入れ替えるデプロイに大変なコストがかかります。デプロイを自動化した最新のWebサービスならまだしも、機器が動作している現場まで行ってケーブルをつなぎ、コマンドを叩く作業が必要なものもあるからです。
サマータイムの開始時にはシステム切り替えに伴うサービス停止は避けられず、機会損失も生まれそうです。システム改修費用の総額は、消費税増税などの事例を考えても、中小企業で数千万から数億円、大企業では数億から数百億円規模になるのではないでしょうか。
この連載の記事
-
第270回
スマホ
iPhone値上げ、Pixel躍進──2022年のスマホを振り返る -
第269回
Apple
アップル「iPad(第10世代)」なぜ値上げ? -
第268回
iPhone
iPhone「mini」ユーザーはどこへ向かうのか -
第267回
Apple
アップル「M2 MacBook Air」M1ユーザー視点でレビュー -
第266回
スマホ
iPhone値上げ 高コスパAndroidにチャンスはあるか -
第265回
Apple
アップル製品の「壁」を取り払う新機能に注目 #WWDC22 -
第264回
スマホ
メガネをかけると大画面? 「Nreal Air」を試した -
第263回
ビジネス
在庫不足のアップル、コスト増のアマゾン──GAFA決算、各社の課題浮き彫り -
第262回
PC
出張用のPCやモバイル回線を見直した -
第261回
Apple
アップル「Mac Studio」Mac miniから買い換える価値はある? -
第260回
スマホ
楽天モバイル「Apple Watch」は新たな強みになるか - この連載の一覧へ