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Windows情報局ななふぉ出張所 第118回

デスマと化す前に逃げ出そう:

サマータイムはデメリットが多すぎる

2018年08月21日 09時00分更新

文● 山口健太

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 2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、暑さ対策としてサマータイムを導入するとの議論が巻き起こっています。しかし、かつてプログラマーとしてさまざまなソフトウェア開発に携わってきた筆者としても、デメリットが大きすぎると感じています。

■サマータイム導入で何が起きるのか

 最近、政府が検討しているサマータイムは、6月に時計を2時間遅らせ、8月に2時間早めるというものです。すでにサマータイムを導入している国でも、3月と10月に1時間ずらす国が多いことから、諸外国とも大きく異なります。

 たしかに、スマホやPCにはタイムゾーンを切り替える設定があり、日本でサマータイムが始まってもOSのアップデートで対応できるでしょう。データベースなどには日付時刻用のデータ型が用意されており、タイムゾーンに依存しないシリアル値で記録するのが一般的です。

OSアップデートで「日本夏時間」のタイムゾーン追加にも対応できそうだ。

 ただ、古いデバイスにはOSアップデートが提供されないこともあります。システムによっては日付時刻を文字列として扱う場面もあり、サマータイムの切り替え時には混乱が避けられないでしょう。

 特に深刻な問題が、いまや家電製品から原子力発電所まで、あらゆるシステムで動いているソフトウェアに、何が起きるのか分からないことです。

 日本では1948年から数年間、一時的にサマータイムを導入した以外には、協定世界時(UTC)から9時間進めた日本標準時がタイムゾーンとして使われてきました。筆者がプログラマー時代に関わったプロジェクトでも、サマータイムを考慮したことは一度もありません。

 ソフトウェアによっては、エラーを吐いて強制終了するかもしれません。これは被害を最小化できるという意味では、まだマシなほうです。中にはデータに矛盾を抱えながら、動作を続けるものもあるでしょう。誇張ではなく、本当に何が起きるか分からないのです。

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