2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、暑さ対策としてサマータイムを導入するとの議論が巻き起こっています。しかし、かつてプログラマーとしてさまざまなソフトウェア開発に携わってきた筆者としても、デメリットが大きすぎると感じています。
■サマータイム導入で何が起きるのか
最近、政府が検討しているサマータイムは、6月に時計を2時間遅らせ、8月に2時間早めるというものです。すでにサマータイムを導入している国でも、3月と10月に1時間ずらす国が多いことから、諸外国とも大きく異なります。
たしかに、スマホやPCにはタイムゾーンを切り替える設定があり、日本でサマータイムが始まってもOSのアップデートで対応できるでしょう。データベースなどには日付時刻用のデータ型が用意されており、タイムゾーンに依存しないシリアル値で記録するのが一般的です。
ただ、古いデバイスにはOSアップデートが提供されないこともあります。システムによっては日付時刻を文字列として扱う場面もあり、サマータイムの切り替え時には混乱が避けられないでしょう。
特に深刻な問題が、いまや家電製品から原子力発電所まで、あらゆるシステムで動いているソフトウェアに、何が起きるのか分からないことです。
日本では1948年から数年間、一時的にサマータイムを導入した以外には、協定世界時(UTC)から9時間進めた日本標準時がタイムゾーンとして使われてきました。筆者がプログラマー時代に関わったプロジェクトでも、サマータイムを考慮したことは一度もありません。
ソフトウェアによっては、エラーを吐いて強制終了するかもしれません。これは被害を最小化できるという意味では、まだマシなほうです。中にはデータに矛盾を抱えながら、動作を続けるものもあるでしょう。誇張ではなく、本当に何が起きるか分からないのです。
この連載の記事
-
第270回
スマホ
iPhone値上げ、Pixel躍進──2022年のスマホを振り返る -
第269回
Apple
アップル「iPad(第10世代)」なぜ値上げ? -
第268回
iPhone
iPhone「mini」ユーザーはどこへ向かうのか -
第267回
Apple
アップル「M2 MacBook Air」M1ユーザー視点でレビュー -
第266回
スマホ
iPhone値上げ 高コスパAndroidにチャンスはあるか -
第265回
Apple
アップル製品の「壁」を取り払う新機能に注目 #WWDC22 -
第264回
スマホ
メガネをかけると大画面? 「Nreal Air」を試した -
第263回
ビジネス
在庫不足のアップル、コスト増のアマゾン──GAFA決算、各社の課題浮き彫り -
第262回
PC
出張用のPCやモバイル回線を見直した -
第261回
Apple
アップル「Mac Studio」Mac miniから買い換える価値はある? -
第260回
スマホ
楽天モバイル「Apple Watch」は新たな強みになるか - この連載の一覧へ