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Galaxy Note9はどのように進化した? 発表会のポイントを振り返る

2018年08月12日 10時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII編集部

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Galaxy Note9発表会

 サムスン電子の「Galaxy Note9」は、現在発売中のGalaxy Note8を正統進化させたモデルです。その進化は春モデルのGalaxy S9/S9+の進化に重なる部分があります。ところがGalaxy Note9にはGalaxy S9/S9+にはないハードウェア、スタイラスペンの「Sペン」が付属します。Galaxy Note9はそのSペンが進化したことにより、これまでのNoteシリーズではできなかった機能が加わりました。Galaxy Note9はどのような進化を遂げたのか、その発表会を振り返ってみます。

Galaxy Note9を発表するサムスン電子モバイル部門のプレジデント、DJ Koh氏

 Galaxy Noteの初代モデルが発表されたのは2011年の9月でした。5.3型の大型ディスプレーはさっそく市場で好奇の的となり「大きすぎる」「片手で使えない」「これを買う消費者がいるのか」と否定的な意見ばかりが聞かれました。しかしフタを開けてみれば、従来のスマートフォンの画面サイズに飽き足らず、かといってタブレットでは大きすぎると考えているユーザーに受け入れられました。また、付属のSペンは筆圧検知対応で書き味もよく、紙のメモを取る感覚で画面上に書き込みができました。

 Galaxy Noteの名の通り、ノート代わりに使うためにはこの画面サイズとSペンの組み合わせが最良だったのです。気が付けば「ファブレット」という単語を生み出し、他社も大画面化に追従、大画面スマートフォン市場をけん引する存在になりました。Galaxy Noteシリーズはある意味、常に時代の先取りをした製品だったと言えるでしょう。

初代のGalaxy Noteは大きすぎると言われ、否定する意見が先行した

ファブレット時代を迎えると、Galaxy Noteはその代表製品となった

 最新モデルとなるGalaxy Note9は、パワフルかつイノベイティブな製品だとサムスン電子のモバイル部門プレジデント、DJ Koh氏は説明しました。それではその進化した部分を発表会から振り返ってみます。

 まずはパワー。CPUはSnapdragon 845、またはExynos 9810を採用し、Galaxy Note8よりCPU性能は33%、GPU性能も23%アップしています。そして水冷やカーボンシートによる冷却強化で、前モデル比で3倍の冷却効果を実現しました。これにより高度な作業、特にゲームプレー時のエクスペリエンスを大幅に上げることが可能になりました。

 人気のアクションゲーム「フォーナイト(Fortnite)」もGalaxy Note9は対応モデルとなり快適なプレーが可能です。Galaxy Note9は実はゲーミング端末としても優れた性能を誇ります。

CPUとGPUの性能がアップ

主にゲームプレー向けに冷却システムも強化している

 またデータ通信速度は最大1.2Gbpsに対応し、5Gを待たずにギガビットの高速通信を可能にしています。バッテリー容量も4000mAhに増えており、1日以上の利用が可能とのこと。高速通信を長時間利用できるとなれば、ついつい大容量のコンテンツをダウンロードしがちですが、Galaxy Note9には512GBのストレージモデルがあり、512GBのmicroSDカードを装着すると合計1TBものストレージを利用できます。

 そして本体カラーは4色展開、Galaxy Note8よりもより高級感が増した印象です。付属のSペンも本体カラーに合わせていますが、ブルーモデルのみSペンの色は黄色となっています。

1TBもの大容量空間を利用可能

上品な色合いの4色展開

 本体デザインでは背面の指紋認証センサーの位置がカメラの下に移動し、指先でレンズを触れてしまう恐れが軽減されました。カメラはGalaxy Note8と同じ1200万画素+1200万画素デュアルカメラですが、ワイド側をF1.5とF2.4の自動切換えとしました。これはGalaxy S9+と同じもので、明るい屋外も暗い室内も絞りの自動切換えで最適な光量での撮影が可能になります。

 ここまでの機能はGalaxy S9+と変わりませんが、Galaxy Note9は20のシーンを自動的に判別するインテリジェンス機能が加わりました。最近各社のカメラに搭載されている機能ですが、色や明るさを被写体に応じて自動調整してくれるので、美しい写真を手軽に撮影することが可能です。

F1.5+F2.4のデュアルカメラを搭載

20のシーンに応じた自動調整機能が備わった

 また、被写体の状態に応じてカメラ画面にヒントや注意が表示されるようになりました。実例として子供を写そうとしたときに「目を閉じています」との表示が出ます。明るさもピントもOKなのに、目をつぶった写真を撮ってしまった、といった失敗もなくなりそうです。

 最近のスマートフォンはフロントカメラもよく使われます。セルフィーをSNSにアップするユーザーも増えていますね。そのセルフィーを撮るときに便利な機能として、Sペンの進化が紹介されました。

被写体の状態を判別して注意表示がされる

誰もが撮るようになったセルフィー。Galaxy Note9ならセルフィーもラクに撮れる

 Galaxy NoteシリーズのSペンは毎年の新機種ごとに機能が追加され高性能なポインティングデバイスに進化しています。Note8では画面上にペン先を置くとその部分を拡大したり、翻訳するといった機能も加わりました。Galaxy Note9ではこのSペンに初めてBluetoothとバッテリーを内蔵しています。それによりGalaxy Note9本体のリモコンとして使うことができます。

 たとえばカメラ使用中は、Sペンのボタンクリックでシャッターを切ってくれます。セルフィー時に思うタイミングでシャッターを切ることができるわけです。市販のBluetoothリモコンと同じ機能ですが、SペンはGalaxy Note9に装着しているだけで自動的に充電されるので、充電切れ・電池切れの心配がありません。

 ペアリングも自動で行なわれるので、いざリモコンを使おうと思ったらスマートフォンが反応しない、ということもないのです。

毎年進化を続けてきたSペン

セルフィーに限らず、写真撮影時にSペンがリモコンになる

 ビジネス用途にはパワーポイントのプレゼンの前後送りがSペンのクリック・ダブルクリックで行えます。実際に発表会でのこの説明のプレゼンシーンはGalaxy Note9を使ってSペンでコントロールされていました。さらには音楽やYouTube動画の再生、次の動画へ移動、前の動画へ移動、といった操作もSペンをリモコンとして使うことができます。

プレゼン資料のページめくりにもSペンを使える

コンテンツ視聴時もSペンをリモコンとして使えば便利だ

 発表会では机の上に置いたGalaxy Note9で動画を再生しているシーンが紹介されましたが、せっかく画質のいいカメラで撮影した写真や、迫力ある映画は大きい画面で見たいものです。Galaxy Note9は最新のGalaxyシリーズが備えるDeX機能にも対応。大画面TVに接続してGalaxy Note9の画面をPCに似たUIで利用することができます。

 従来のGalaxy各モデルはDeXステーション、DeXパッドなどの周辺機器を使い、TVへ接続する必要がありました。しかしGalaxy Note9はUSB Type-CからHDMI出力できる変換ケーブルでTV接続するだけで、DeX機能が利用できます。TVのHDMI端子にType-Cケーブルを接続したままにしておけば、TVをGalaxy Note9のサブディスプレーとしてすぐに使うこともできるでしょう。Sペンのリモコン機能と、ケーブル接続でTV出力できるDeX機能の組み合わせはGalaxy Note9を最強のエンタメマシン、あるいはビジネスマシンにしてくれるのです。

DeX機能はHDMI出力ケーブルだけで利用可能になった

Galaxy Note9をTVに接続。PCのようなマルチウィンドウ画面のUIで利用できる

 このようにSペンのリモコン化だけならば進化の幅は少ないように思えるかもしれません。しかし、高性能になったカメラで美しい写真や動画を撮影できるようになり、ヘビーなゲームもプレー可能。そしていつでもTVの大画面を利用できることから、Galaxy Note9はGalaxy Note8やGalaxy S9/S9+よりもスマートフォンとしての使い道が大きく広がっているのです。

 他にも音声AIアシスタント「Bixby」機能も進化しています。ただし、まだ日本語へは対応していないため、日本人にとっては今後の楽しみということになります。この進化したBixbyがスマートスピーカー「Galaxy Home」とも連携し、さらにサムスン電子のスマートTVやスマート家電とも接続できます。Galaxy Note9はスマートフォン単体としての機能だけに注目するのではなく、スマートホーム、スマートオフィス、スマートライフの中心に位置する製品へと進化を遂げているのです。

Bixbyも機能アップしたが、日本語の対応はこれからだ

Bixbyに対応したAIスピーカー、Galaxy Home

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