VAIOが国産である意味を考えてみる
VAIOはソニーからの独立を機に、安定した法人需要にこたえる製品企画にシフトした。定評ある軽量性や高性能といった特徴はそのままに、製品サイクルを長く設定したり、11インチ、13インチで内部の仕様を統一したりといった、上で述べたような法人向けパソコンに求められる要素を段階を追って取り入れてきている。
そんな取り組みが功を奏してか、法人導入のためにVAIOを選びたいという声も少しずつ増えてきているようだ。特にここ数年は国内PCメーカーの再編が進み、特に法人向け市場では、もともと米国に拠点を置くグローバルブランドの存在感が強い。さらに旧来の国内ブランドも中国や台湾など海外資本の傘下に入るケースが増えており、純粋な意味での国産ブランドが減ってきている流れがある。
ブランドが多彩で競争原理が働き、独自の品質基準、モノづくりへの工夫など、品質・信頼性の高さで、もともと国産ブランドへの期待感は大きかった。とはいえ、上に挙げた状況の中、設計や生産、部品調達などすべてを国内完結できる企業というのは少ない。単純な価格だけで切れば、グローバル市場をターゲットにした海外ブランドのほうが優位な面もあるだろう。
では、なぜ国産なのか? ひとつは日本ローカルの事情を考慮した品質基準や検証を行っている点だろう。海外メーカーの製品もさまざまな試験をクリアした製品であることに間違いはないが、日本のメーカーはさらに一歩踏み込んで、日本の風土やマシンの扱われ方などを考慮した品質チェックが行なわれている場合が多い。
また満員電車での移動を考慮した堅牢性や軽量性、常時接続性、長時間のバッテリー駆動など日本人気質というか、こだわりなどユーザーの声を反映した商品企画がなされている点は大きな魅力と言えるだろう。
VAIOを例にとると、安曇野にあるVAIOの工場では、設計と品質管理、カスタマーサポートを担当している部署が同じ工場内にあり、品質試験やユーザーからの声は、すぐに設計へと反映できる体制になっている。
品質試験もかなり過酷で、高温多湿な環境での動作や、満員電車で受ける圧力を想定した試験、ノートPCのキーボードと液晶の間にペンを挟んで無理やり閉じるという、傍から見ていてもPCが可愛そうと思えるようなことまでチェックしている。また、日本のホコリに合わせた試験も行なっている。このあたりは海外メーカーでは真似のできないところだろう。
しかしながら、そのあたりの品質試験については、あまり多くは謳われてはいない。エンドユーザー目線でものづくりをしており、そんなことは当たり前といわんばかりのこだわりようだ。
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