ジェリカンにはノズルが必要です
前回に続いて、ハンヴィーの小物として買った米軍のジェリカンのお話です。
第二次世界大戦のころのドイツ軍のジェリカンはバネ式のフタがついていて、ワンタッチで開け閉めできました。長さ数センチの注ぎ口があるので、そのまま給油口に注ぎ入れられ、バネのおかげで勝手に閉まってしまうこともありません。
対して、米軍のものはネジ式のフタで、平らな面に大きい穴が開いているだけ。グルグルと回さないと開かないし、注ぎ口がないからそのまま注ぎ入れるとあふれてしまうので、スポウトと呼ばれるノズルを取り付ける必要がありました。ジェリカンを製造していたのがドラム缶を作っていたメーカーで、ドラム缶のフタを流用したためそんなことになったそうです。このへんの使い勝手は当時のドイツ軍の物が一歩上な感じですね。
これは今も同じで、現在のドイツ軍やフランス軍などで使われているジェリカンもバネ式のフタと注ぎ口つき。全体のデザインは当時の物とそっくりですが、フタをピンでロックできるようになり安全性がアップしています。NATO軍タイプの名称で一般にも流通していて、より使いやすいようにスポウトも用意されています。
一方、米軍は相変わらずただの穴。使うときはやはりスポウトが必須です。
ちなみに、NATO軍タイプのNATOはご存知、北大西洋条約機構のこと。NATO加盟国で使われているジェリカンですが、NATOはアメリカも加盟してるっていうか、むしろ中心的な役割を果たしてますよね。アメリカはこれを採用していないので、NATO軍タイプっていうと語弊はありますが、まぁヨーロッパ仕様なのかなと思います。
穴の直径は6cmほど。縁が分厚いこともあって、このまま給油口に注ぎ入れるとあふれてしまいます。そこでスポウトが必要になるわけですが、ジェリカンには付属していません。つまりジェリカンとは別に買わなくてはならないのです。
ところが、このスポウトはぜんぜん売ってません。実際に使う予定はなくても、備品として買っておきたいと思ったんですが、見つけられませんでした。米軍払い下げ店の方に聞いてみたところ、米兵はこぼれるのを気にしないでスポウトなしでザバザバ入れちゃうから、払い下げがほとんど出回らないとのこと。ダイナミックというか大雑把というか、いかにも軍人っぽいというかアメリカ人っぽいというか。本当かどうかはわかりませんが、出回っていないのは確かです。
アメリカでは簡単に見つかったものの、スポウトが55ドルに対して送料がそれを上回る56.90ドルで、合計1万2000円超という高額商品っぷりで、ポチる指が一瞬止まりました。まぁ一瞬だったのですぐポチったんですけれども。
買ったのにジェリカンにつかなかったら困るので、探すときにあれこれ調べたんですが、スポウトにはいろいろと種類がありました。ワタシが買ったのは黒いジャバラのノズルがついた大口径タイプ。軽油専用で、ガソリン車では使えません。これは燃料にあわせて素材が違うのではなく、太さの問題です。
というのも、日本のクルマはディーゼル車もガソリン車も給油口のサイズが同じですが、欧米ではディーゼル車の給油口が大きいのです。これは誤給油を防ぐため。ガソリンスタンドの給油ノズルも、それにあわせて軽油のほうが太く、ガソリン車には軽油のノズルが入らないようになっています。そもそも突っ込めないんですから、間違えて軽油を入れてしまうミスは起こりえません。
なんて、さも知ってましたふうに書きましたが、いつもどおり知ったかぶりです。調べるまでぜんぜん知りませんでした。日本もこうすれば軽自動車に軽油を入れてしまうなんていう間違いが起こらないのになぁ。
スポウトにはもちろん、ガソリン車用もあって、そちらは水道のホースのような透明の細いノズルがついています。
この2つはフタを外して、代わりに取り付けるようになっていますが、ぜんぜん別のタイプもありました。ジェリカンの口の部分は内側にもネジ山が切られていて、そこにねじ込むタイプがあるのです。ノズルが細いホースだったのと、見つかったのが民生品だけで、軍に採用されているかがわからなかったです。半額程度の価格は魅力的でした。
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