このページの本文へ

R&Dでは機械学習やAI/RPA、量子コンピューティングまで手を拡げる

クラウドのど真ん中で成長してきたテラスカイが描く次の一手

2018年05月24日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

2018年5月23日、テラスカイは日本橋の新オフィスにおいて2019年度の事業戦略説明会を開催した。登壇したテラスカイ代表取締役社長の佐藤秀哉氏は、Salesforce.comとAWSのクラウドインテグレーション事業が絶好調であることをアピール。その上で、機械学習や量子コンピューティングなどの次のビジネスのタネに向けて、着実にR&Dを重ねていくことを強調した。

テラスカイ代表取締役社長 佐藤秀哉氏

AWSのビジネスは全体の1/4まで拡大

 2006年創業のテラスカイはSalesforce.comやAWSのシステム構築を手がけるクラウドインテグレーター。創業期からSalesforceのインテグレーションを手がけており、Salesforce認定資格取得者はトップクラスを維持。導入実績も大企業中心に3000案件を突破しているという。

 売り上げ構成比は、クラウドインテグレーションが約7割、Salesforce向け開発ツール「SkyVisualEditor」やグループウェア「mitoco」など製品が約3割という比率だという。2018年度は両方とも成長してきたが、大型案件や新規、既存の改修などのニーズが増加したクラウドインテグレーションの成長が著しく、製品の成長が目立たなくなっているという状態だという。特筆すべきはAWSビジネスの伸びで、現在は全体の約1/4をAWS関連が占めるようになっているという。

AWS案件が全体の1/4まで占めるようになっている

 クラウドの波に乗り、まさに右肩上がりで成長してきた同社だが、実は創業当時からずっと黒字だったという。「2007年当時、Salesforceをインプリできる会社はほとんどいなかったので、人がいるだけでビジネスが伸びた。その後、Salesforce.comが急速に伸び、今も同じことが続いている。つねにクラウドのど真ん中にいたから、ここまで成長できた」と佐藤氏は振り返る。

R&D、グループウェア、コンタクトセンターなど次のビジネスに布石

 2019年度の戦略としては、まず先進技術に向けたR&D部を設立する。対象分野としては機械学習、仮想パーソナルアシスタント、RPA、量子コンピュータ、IoT、AR/VRなどがあり、それぞれにマイルストーンを設定し、現実的なビジネスに近づけていくという。「個人的には量子コンピューターは期待している。この先5年はビジネスにならないが、人をきちんと確保して年度末にはなんらかの成果を見せたい」と佐藤氏は語る。

R&D部を作り、次のビジネスのタネを探す

 また、Salesforceベースのグループウェアである「mitoco」にも投資を継続する。先日、Lightningコンポーネント対応やワークフローの回覧機能追加などV5.0へのバージョンアップも実現したほか、2万IDで運用する東京海上日動などの事例も増えてきた。同日付で、りそな銀行でのmitoco採用も発表。2018年5月から2000IDでスタートし、将来的にはグループ会社にも展開していくという。

 さらに次世代コンタクトセンターの領域にもフォーカス。従来型の電話やメールでの対応だけではなく、Messenger、Twitter、LINEなどのSNSによるコミュニケーションを前提にしたオムニチャネルコンタクトセンターのシステム構築を強化する。LINEでのチャットサポートを提供する「オムニチャネルLINK for LINE カスタマーコネクト」のほか、同日付でAWSのクラウド型コンタクトセンサーサービス「Amazon Connect」のPoCサービス「ぴたっとコネクト for AWS」をスタートさせることを発表した。従来型のコンタクトセンターソリューションに比べて大幅なコスト削減が見込めるAmazon Connectが東京リージョンに上陸する前にPoCで実績を作るのが狙いだ。

東京リージョン上陸前にAmazon ConnectのPoCサービスを開始する

 その他、Salesforce.comのマーケットプレイスであるAppExchangeにサードパーティ製品を展開する支援も進めるほか、既存のERPコアを残しつつ、変化の激しい周辺アプリケーションで最適なサービスを選択する「ポストモダンERP」の施策も強化。SAPのクラウド化を進める子会社のBeeXは、大企業を中心に25社以上の開発実績を実現したほか、TISからの出資・協業、東洋ビジネスエンジニアリングへの出資・協業も今年の3月に発表されている。

 中期経営計画としては、2019年度を「規模の拡大」を目的とした3カ年計画の最後の都市と位置づけ、投資と売上規模の増を実現する。その後3年は売り上げより、利益を追求し、2020年2月に経常利益10億円超えを目指すという。

■関連サイト

カテゴリートップへ

  • 角川アスキー総合研究所
  • アスキーカード