4月23日~27日までドイツ・ハノーバで「ハノーバメッセ2018」が開催されました。産業関係の展示会ですが、モバイルに絡む製品もちらほら。コンシューマー向けにもぜひ出してほしいと思えるものがいくつもありました。その中でも注目したい製品がスマートグラスです。
グーグルの一般消費者向け製品の撤退後、スマートグラスのニュースはあまり聞かなくなりました。ところが産業用には導入が進んでいます。工場であれば道具の使い方を指示したり、またARと組み合わせてパーツの棚から目的のものの場所を画面上に指示してくれるなど、両手がふさがっていることが多いシーンで活躍してくれるわけです。グーグルの「Glass Enterprise Edition」を使ったソリューションがハノーバメッセではいくつも見かけられました。
ドイツが推進する工場のIT化である「インダストリー4.0」は、生産現場だけではなく物流も含めた、モノづくり全体の効率化を進めるもの。スマートグラスは現場で作業をする人たちを補佐するものとして、これからなくてはならないものになるわけです。しかもデザインに野暮ったさはなく、一般消費者が街中でつけてもおかしくないようなものが増えています。将来、これらの製品のコンシューマー向け展開も期待したくなります。
日本メーカーも存在感を出しています。下写真のコニカミノルタの製品は、製品組み立て時の順番をグラス内で指示してくれるというもの。マニュアルを読まなくとも目の前の表示に従えば間違いなく組み立て作業ができます。ロボットではできない作業は人間がする必要がありますが、スマートグラスがあればミスを限りなくゼロに近づけることができるわけです。
またARを使ったソリューションもこれから増えそうです。ARグラスを通し、目の前に見えるバルブの操作方法をグラス内に表示すれば、紙のマニュアルを持ち出したり、あるいは操作方法を事前に覚えておく必要がなくなります。ハノーバメッセにはマイクロソフトも出展していましたが、HoloLensのデモに対しては多くの来場者が興味を持っている様子でした。
さてウェアラブルと言えばVRグラス。日本でもVRアーチストとして活動中のせきぐちあいみさんがハノーバメッセの会場でもライブパフォーマンスを行ないました。
これは製造業向けVRコンテンツを開発したSynamonと駿河精機のデモの一環として、来場者にVRをわかりやすく説明するもの。ハノーバメッセは産業関係の来場者が多く、VRと聞いてもピンとこないお客さんも多かったかもしれません。目の前で空間上に描かれるVRアートには大きな注目を集めていました。
駿河精機のVRは、遠隔地から工場の中を実際に動いて様子を見ることができるというもの。機械などの汚れまでもあえて再現したといいます。ビデオと違い360度好きな場所を見渡せるので、実際に現場に行かずとも社員の教育などに使うことができます。産業用途へのVRの応用もこれから進んでいくでしょう。
スマートグラス以外にも産業用のスマートフォンやスマートウォッチなど、ハノーバメッセには興味深い展示が多く見られました。いずれはスマートフォンメーカーが産業用端末を展示する、なんて時代がやってくるかもしれませんね。
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