このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

業界人の《ことば》から 第290回

ECで楽天の売上の半分目指す KDDIが掲げる4つのワクワク

2018年04月16日 09時00分更新

文● 大河原克行、編集●ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

EC、キャッシュレス、スポーツ、VRやARの強化

 「楽しくする会社にしたいという言い方もあったが、議論を重ねた結果、この言葉に落ち着いた」という。

 ここでは、4つの「ワクワク」を示す。

 ひとつは、ネット通販事業の「Wowma!」。「単なるECサイトのサービスに留まらず、体験価値を提供する入口へと進化させたい。ここに来れば、ワクワクしてもらえるようにしたい。これが最初の仕事。年度内には、楽天の半分ぐらいの売上げ規模を目指す」とする。

 2つめは、「キャッシュレス生活の強化」である。

 「au WALLETを発表した時には、『グッバイ、おサイフ!』といって、財布の業界団体から怒られたことがあった」と振り返りながら、新たにリアルタイムチャージおよび個人間送金のサービスを開始したことを発表したほか、年内にはQR決済サービスを開始する予定であることに言及。資産運用やローンにも対応していくという。

 3つめは、スポーツインターネットメディアサービスの「SPORTS BULL」である。「本田圭佑選手が、ヒカエリにやってきて始まったサービス」として、新たに同氏がコーディネイトするスポーツマッチングビジネスを提供。好きな時間と場所で、自分専属のスポーツコーチを得られるという。

 そして、4つめが、VRやARといったXRの強化である。ここでは、自分の部屋をスタジアムに変えたり、遠距離恋愛を短距離恋愛に変えたりといったように、スポーツシーンやライフイベントにおいて、時間と空間を超えた素敵な時間を演出できるようになるという。

 「こうした取り組みを通じて、ワクワクを提案し続けていきたい」とする。

 高橋社長は、長年新規事業を担当してきた経緯がある。

 飯田橋の本社が、通信事業の本拠地だとすれば、高橋社長が率いてきた新規事業は渋谷・ヒカリエに拠点を持つ。会見では、ヒカリエの文化を飯田橋にどう植え付けるのかといった質問が飛んだ。

 高橋社長は、「ヒカリエの社員が、本社に行くときには必ずスーツを着る」と前置きし、「郷に行けば郷に従えであり、通信事業者としてお客様に向き合う場合と、自由な発想でオープンイノベーションを起こす仕事をする場合と、それぞれにあわせた役割を理解し、その姿勢でやればいい。相互交流はしていくが、ヒカリエの文化を本社に持ち込む必要はまったくないと考えている」とする。

 こうした姿勢に、「シフト」ではなく、「融合」という意味が見え隠れするともいえそうだ。

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ