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ベストセラー「職場の問題地図」の沢渡あまね氏、サイボウズ伊佐政隆氏と語る

働き方を変えたければ、やり方とプラットフォームを変えよう

2018年02月09日 10時30分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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強いチームには共通言語とプラットフォームがある

大谷:こう考えると、働き方改革ってチーム力が試されますよね

沢渡:私も働き方改革プロジェクトに入ったことありますが、最初はみんなやらされ感がすごくてドンヨリしています(笑)。でも、1~2ヶ月動いてみると、1人か2人くらい、目の色が変わってくる人がいます。リーダーとして、自律的に動き始めるんです。

やらされ感のある働き方改革プロジェクトも、数ヶ月動くと目の色を変わる人が出てくきます(沢渡)

伊佐:そういう意味では、全員がリーダーの意識を持っているのが、強いチームの違うところなのかもしれません。「誰かがやってくれるだろう」とか、「あの人にお任せしよう」という話だと、なにも改善しない。自分たちの置かれている状況をきちんと意識し、なりたいイメージを全員が持っていれば、チーム全体として向上していくんだと思います。

沢渡:ビジョンの共有は重要です。会社レベルでも企業理念といったレベルで漠然とした内容だと、あまりしっくり来ないですよね。

大谷:「お客様のためにがんばります」みたいな(笑)。

沢渡:そうそう。「そりゃそうだ」としか言えないヤツです(笑)。でも、こうするとスタッフ部門としては、うちらお客さんに直接対応してないから関係ないみたいな反応になります。だからリーダーは部や課で「大切にすること」や「らしさ」を共有すべきだと思います。そのためにコミュニケーションツールがあるわけですから。

ダイバシティって結局そういうことだと思います。女性比率を無理矢理上げようとか、スキルの高い人やいろんな国籍の人に集まってもらうだけじゃ、イノベーションなんて起こりっこないです。個人としては自分の仕事の勝ちパターンを知って実践し、定時で高いアウトプットを出していくこと。多様性を上げて、イノベーションに結びつけていくことですね。

大谷:個人的にはASCII Team Leadersという業務リーダー向けの媒体を担当していながら、働き方改革に近いことってけっこう一人で実現できると思っています。ぼっち働き方改革というか(笑)。多くのビジネスクラウドってコミュニケーションを前提としていますが、一人で使っても十分効果あります。うちでもタスク管理ツール使ってますが、ライン生産ではなく、完全なセル生産型なので、他のメンバーを見ると、タスク多すぎてむしろ引きますね(笑)。その意味でチームプレイの形は1つじゃないですね。

沢渡:結局、一人一人が自分の得意分野や専門性を発揮し、自律的に動いていくためには共通の言語とプラットフォームが重要になります。メンバーがまったく異なるプラットフォームを使っていたら、ナレッジは溜まりようがないし、学べるモノも学べない。同じプロジェクトなのに、ベンダー、ユーザー、情シスで仲が悪いのは、やはりプラットフォームが違うから。日本の組織に「ベストプラクティス」がなかなか馴染まないのはそこです。

共通の言語やプラットフォームに則って仕事していないと、どんなに良い事例でも「あのやり方は特殊だ」「ウチとは違う」と他人事としてとらえて蓋を閉じてしまう。そのくせ、「事例を教えてくれ!」と必死になる。まったく同じ環境の職場なんて2つとないのに、「青い鳥」を求め続けます(苦笑)。

大谷:kintoneのイベントで面白いのは、それこそ昨年kintone AWARDを獲得した一関の染め物屋さんとか、町工場とか、その業種ならではのコンテンツを楽しめる一方で、「抱えている問題って意外と同じだな」という気づきがあるからなんですよね。

沢渡:kintoneのユーザーコミュニティが盛り上がっているのは、やはり共通のプラットフォームになっているからだと思います。会社も、文化も、業種も違うけど、kintoneが共通のプラットフォームになっているので、お互いが議論できるんです。これってすごい大事だと思うんです。

伊佐:「自分だけがムダな苦労してるんじゃない」「ここは苦労していいんだ」という確認作業が重要だと思います。モノ作っただけ、ルール作っただけではうまくいかなくて、「結局ここは苦労するところなんだね」という部分が共感を呼ぶみたいです。

業務改善のプラットフォームとしてkintoneに期待する現場

大谷:業務改善のプラットフォームとしてkintoneを導入しているユーザーも多いんでしょうか?

伊佐:今までITって、企業の情報システム部の方が導入していたんですが、kintoneは現場部門のリーダーが自ら選定して、小さいチームから使い始めます。それがクチコミ的に他の部署に横断し、全社に広がっていくというパターンが多いですね。リリースして6年経ちましたが、いまだに契約ユーザーのうち情シスは2割で、それ以外が8割です。

沢渡:面白いですよね。そこらへんは世の中のニーズなのかなと。今までの情シスってどうしても基幹システムや基盤に注力していて、小回りが効かない。でも、kintoneがあればユーザー側のモヤモヤやイライラをささっと解消できますよね。

大谷:名刺の肩書き的にはどんなところが多いんですか?

伊佐:大きく営業系、企画系、総務系で分かれますね。システム担当でないことは共通しています。

大谷:業務部門で、沢渡さんのところに来る人はどんな感じなんですか?

沢渡:私のお客様でも、営業管理部とか、企画部みたいなところ多いですね。あとは品質管理で社内のインフラ周りを整備しているといったところですかね。基幹システムが重すぎ、小回り効かないために、疲弊している方々です。ERPに入れるためのExcelが無数に生まれているとか、Accessの神みたいな人に業務が依存しているとか、BIツールは面倒だから人手で毎回資料作っているとか、そういう現場の人です。

別のパターンとしては、社内のコミュニケーションを高めたいという要望ですね。全社システムを動かそうとしても情シスが融通を利かせてくれないので、現場でスピーディーに情報共有するにはどうしたらいいかみたいな相談ですね。

伊佐:なんだかインテグレーターに相談するようなヘビーな内容ですね。

沢渡:そうなんです。でも、そういう相談が業務改善の文脈で、現場から来ることもあるんです。

大谷:こうなると、当然kintoneを情シスの役割どうなるんだ?という話もありますが。

アスキー編集部 大谷イビサ

沢渡:私としてはkintoneで情シスも元気になってもらいたいと思います。たとえば、kintoneのユーザコミュニティを情シスが社内で主催するとか。

伊佐:実際にkintoneの社内勉強会やってくれている情シスっているんですよね。kintoneって縄張りやバリアを張らず、協力的なプラットフォームになれると思うんです。

沢渡:プロジェクトマネジメントを教えるとか、サポートをいっしょにやってみるとか。情シスの価値を上げられるフィールドはいくつもあります。「シャドウITで現場が勝手にやっているから知りません」では壁を作るだけ。その事実はいったん受け入れて、「情シスが巻き取りますくらい」のこと言ってみやがれと思いますね。逆にそれすらできない情シスは猛反省して、今からキャッチアップしてもらいたいです。

伊佐:現場で使えるようにサポートし、複雑なことになったら、また相談するみたいに、お互いが頼られるといいなと思います。

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