前回に引き続き、AMDのCES Tech Day 2018の話題を取り上げよう。今回はGPUまわりである。 AMDは今回のTech DayでGPUに関してはVega Mobileと7nm Vegaの2つを示した。
Vega MobileとVega Mの違いとは?
Vega Mはインテル専用のカスタムチップ?
まずはVega Mobileについてだ。今回発表があったのは、モバイル向けディスクリートGPUである。一見すると、インテルのKaby Lake-Gに搭載されているVega+HBM2を、単体で切り出したパッケージに見える。
特徴としては厚みを1.7mmに抑えたことで、薄型ゲーミングノート、あるいは薄型ワークステーションにもフィットする、というのが同社の説明である。
説明がこれだけしかないのでさっぱり中身がわからないのだが、これはなんだろうか? というのが次の疑問である。最初は、上に書いたように「インテルのKabyLake-Gに搭載されているVega M+HBM2を、単体で切り出したパッケージ」かと思ったのだが、どうも違うようだ。
下の画像はこのVega Mobileと従来のVegaを比較したものだ。ぱっと見、Vega MobileのダイサイズはVegaのほぼ半分に見える。
ところがKaby Lake-Gについては、24CU(Compute Unit)と説明されている。もともとのVegaのダイは64CUなので、半分ではなく8分の3しかCUがないことになる。
当初、KabyLake-Gに搭載されたVega Mは、本来32CUのものを8CU無効化して24CUにしたのだろう、と想像していた。念のため、ダイサイズを確認してみることにした。
KabyLake-Gに搭載されているVega Mコアのサイズは、CES 2018を取材した小山氏の写真を元に、無理やり変形してみた。
幸いなことにHBM2チップの外形寸法は7.75×11.87mmとわかっているので、あとは画像の比率から算出すると、Vega Mのダイはおおよそ14.85×12.04mmで、178.8mm2となる。
次はVegaのダイである。こちらは以前Vega 56/64のレビューを行なった際にメカニカルサンプルがAMDより提供されている。ここからVegaのダイは19.05×25.51mmで、486.0mm2と推定される。
最後がVega Mobileである。最初の画像の手元を拡大して歪み補正したのが下の画像だ。
同じように推定すると17.51×13.24mmで、231.8mm2ほどとなる。つまり、明らかにVega MとVega Mobileのダイが違うという計算になる。
ラフな計算だが、CU数がほぼダイサイズに比例すると仮定すると、ダイサイズ比は以下のようになる。
Vega : Vega Mobile : Vega M = 486.0 : 231.8 : 178.8 ≒ 1 : 0.48 : 0.37
VegaのCU数が64なので、それぞれのCU数は以下のようになる。
Vega Mobile 64×0.48 ≒ 31
Vega M 64×0.37 ≒ 24
写真を見るとわかるが、Vega Mobileの画像が一番解像度が荒いので、ここは誤差が一番大きい。したがって、実際にはもう少しダイサイズが大きい(240mm2強)とすれば、CU数は32になる計算だ。
そう思って発表を聞きなおしてみると、AMDはVega MobileについてVega Mという呼び方を一度もしておらず、一方インテルはこれをVega Mと明確に称しているあたり、KabyLake-Gに搭載されるVega Mコアは、KabyLake-G専用チップではないかという疑いが非常に濃厚になってきた。
実際、下のスライドもあるあたり、Vega Mはインテルにのみ供給されるカスタムチップというのが実情に近いと思われる。
話を戻すと、筆者はVega Mobileは、Vega32と呼ばれていた32CU構成のダイではないかと推定している。

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