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Windows Info 第110回

ドンキ2万円PCは64bit UEFI搭載など調べがいがあるマシンだった

2017年12月24日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII編集部

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UEFIシェルが組み込みだった

 MUGAのUEFIは、UEFIシェルが組み込みになっていた。

組み込みのUEFIシェルを起動したところ。いわゆるUEFI Shell V2である

 UEFIシェルとは、UEFI上でユーザーがコマンドライン利用することができる「シェル」である。古くからのユーザーには、MS-DOSのCommand.comと同じものといえばわかるだろう。なお最近のユーザー向けは、「コマンドプロンプトウィンドウと同じ」である。

 UEFIを搭載したPCはいまでは当たり前だが、UEFIシェルが組み込みになったマシンはそれほど多くない。サーバー向けの機種などでは、ハードウェアメンテナンス用にUEFIを搭載したものがあるが、普通のPCでは多くの機種がUEFIシェルを組み込まずに出荷されている。そういう意味では、1万9000円のPCでUEFIシェルが使えるのは、なんとなく“お得”感があるが、普通の人にはなんの役にもたたない。テレビを買ったら回路図がついていたみたいなものである(昔のテレビには本当についてた)。というわけで、せっかくのUEFIシェル、ちょっと解説しておこう。

 MUGAのUEFIの場合、ファームウェア設定画面の「Save&Exit」で「Boot Override」にある「UEFI: Built-in EFI Shell」を選択すれば、UEFIシェルが起動する。

組み込みのUEFIシェルを起動するには、ファームウェア設定画面に入り、Save&Exitタブにある「UEFI: Built-in EFI Shell」を選択する

 また、UEFIシェルでexitコマンドを実行させると、ファームウェア設定画面に戻る。ちなみにファームウェア設定画面に入るには、電源オンのあと、ロゴが表示されている間にDELキー(連打したほうがはいりやすい)を使うか、Windows 10が起動したあと、「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「PCの起動をカスタマイズ」→「再起動」→「トラブルシューティング」→「詳細オプション」→「UEFIファームウェアの設定」→「再起動」でも入ることができる。

 下の表は、MUGAのUEFIシェルのコマンドと概要である。各コマンドは、“HELP コマンド名”または、“コマンド名 -?”で詳細なオンラインヘルプを見ることができる。単に“HELP”を実行すると、コマンドの一覧が得られる。基本的にはMS-DOSと同じだが、厳密には少し違う部分がある。1つはMS-DOSのようにスペースが省略できないことだ。たとえば、ファイルのリダイレクションを示す“>”や“<”の前後にスペースを入れないとエラーになる。また、オプションの指定には、“-”(ハイフン)を使う。MS-DOSのように“/”(スラッシュ)はつかわない。

コマンド名 意味
?/help ヘルプの表示
alias エイリアス(別名)の設定
attrib ファイル/フォルダの属性設定
cd カレントディレクトリの変更
cls 画面のクリア
comp ファイルの比較
connect デバイスの接続
cp/copy ファイル/フォルダのコピー
date 日付の表示と設定
dblk ブロックデバイスのセクターブロックの読み出し
devices デバイスのリスト表示
devtree デバイスツリーの表示
dh EFIハンドルの表示
disconnect デバイスの切断
dmem/mem メモリの表示
dmpstore EFI NVRAMの表示
drivers EFIドライバのリスト表示
drvcfg ドライバコンフィグの開始
drvdiag ドライバ診断プロトコルの起動
echo 文字列表示(スクリプト用)
edit テキストエディタ
eficompress ファイル圧縮
efidecompress ファイル伸張
err エラーレベル
exit EFIシェルの終了
for 繰り返し(スクリプト用)
goto ジャンプ(スクリプト用)
guid GUIDの表示
hexedit 16進エディタ
if 条件判断(スクリプト用)
ifconfig ネットワークインターフェースの設定
ipconfig IP構成の設定
load EFIドライバの読み込み
loadpcirom PCIオプションをROMから読み込み
ls/dir ファイル/フォルダの表示
map ブロックデバイスのマッピング
memmap メモリマップの表示
mkdir フォルダの作成
mm MEM/MMIO/IO/PCI/PCIEアドレス空間の表示、変更
mode ディスプレイモードの変更
mount ファイルシステムのマウント
mv ファイル/フォルダの移動
openinfo ハンドルに関連付けられたプロトコルやエージェントの表示
pause 表示の一時停止(スクリプト用)
pci PCIデバイスリスト
ping ネットワークPINGコマンド
reconnect EFIドライバのデバイスへの再接続
reset システムのリセット
rm/del ファイル/フォルダの削除
sermode シリアルポートのオプション設定
set EFIシェル変数の設定
shift パラメーターのシフト(スクリプト用)
smbiosview SMBIOSの情報表示
stall プロセッサを一定時間ストールする
telnetmgmt ターミナルタイプの変更
time 時間の表示と変更
timezone タイムゾーンの表示と変更
touch ファイルのタイムスタンプ変更
type ファイル内容を表示
unload EFIドライバーのアンロード
ver EFIファームウェアのバージョン表示
vol ボリュームラベルの表示と変更

 また、PCの「ドライブ文字」に相当するものとして“fs0:”と“fs1:”がある(fsはファイルシステムの意味)。これで対象となるファイルシステムを切り替えるのだが、“fs0:”は、内蔵HDDにあるUEFIパーティションを指し、“fs1:”がその次、たいていは接続されたUSBメモリなどに対応する。

 すべてのファイル操作は、パスにファイルシステムを含むか、あらかじめ、カレントファイルシステムを切り替えておく必要がある。具体的には“fs0:”とコマンドを打ち込めばファイルシステムが切り替わる(プロンプトがShellになっているときにはどのファイルシステムも選択されていない)。なお、利用できるファイルシステムは、mapコマンドで表示することができる。USBメモリなどを接続した場合、“map -u”でデバイスマッピングを更新する。

 UEFIシェル中、スクロールして表示範囲を超えてしまった部分は、PgUp(ページアップ)キーで表示させることができる。また、コマンドに「-b」オプションを付けることで、moreのように1画面ごとにスクロールを停止して表示することも可能。

 デバイス関係のコマンドには以下のようなものがある(詳細はHELPコマンドで)。

devices:デバイスの表示
devtree:デバイスツリーの表示
dh:ハンドル情報
drivers:UEFIドライバーの表示
pci:PCIデバイスの表示

 “drivers”は、UEFIが認識しているドライバーを列挙するもの。“devices”と“devtree”は、認識しているデバイスを列挙するもので、後者は接続関係に従ってインデントをつけて表示する。

Driversコマンドの実行結果。UEFIがロードしたドライバの一覧が表示される

 dhは、UEFIが割り当てた「ハンドル」を表示するもの。UEFIでは、デバイスやデバイスドライバ、各種のリソースデータ(ファームウェアROM内のデータ)などにすべてハンドルと呼ばれる値を割り当てる。いくつかのコマンドはこのハンドルを対象にして動作する。dhはそのハンドルを表示するためのもの。pciは、PCI Expressに接続されたデバイスを表示するためのものだ。

 これらのコマンドを使ってざっとMUGAを調べてみたが、特におかしいと思える部分はなかった。比較対象が不明なのでどう判断すべきかわからないが、SDIOで接続されている無線LAN/Bluetoothのコンボデバイス(RealTek Semiconductor、RTL8723BS)は、これらのコマンドで表示されなかった。

 Atom x5-Z8350には、SDカードコントローラーが含まれており、Z8350を使っていれば、すべて同じSDカードコントローラーとなる。

Atom x5/7 Z8000シリーズ(Cherry Trail)は、SoC内にさまざまな周辺回路を含む。無線LANは、PCI ExpressまたはSDIOで接続する

 SDカードコントローラーはPCI Expressバスに接続されており、PCIコマンドにも「SD Host controller」と表示される。他のマシンでもそうのなのかと調べて見たが、手元にあったAtom x5-Z8350マシンは、無線LANデバイスがPCI Express側についていたので、確かめることはできなかった。

pciコマンドの実行結果。デバイス10、11、12がSDホストコントローラーになっている

 MUGAこと、KNW14FHD-SLは、ちょっとクセの強い感じがするが、UEFIシェルが組み込みなど、「調べがい」のあるマシンだった。短時間だが、英語モードにして各種のサービスを停止させたところ、反応はかなりよくなった。

 普通のパソコンとして使うのは性能的にどうかと思うが、ウェブブラウザ経由でのインターネットサービスの利用や軽量なエディタなら、そこそこ行けるのではないかと思う。電源も5Vなので、変換コネクタさえ作れば、ACアダプタを持ち歩くことなく、他のPCやモバイルバッテリからの充電も可能だ。2台目以降のサブマシンとしてプリインストールされたWindowsをそのまま使うということなら悪くない選択だと思う。

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