国内データセンターの大規模化などのトレンドを見据え、新領域への展開にも注力
「大規模DCや非IT分野のUPSも」シュナイダーの国内IT事業戦略
2017年10月17日 07時00分更新
シュナイダーエレクトリックは10月16日、IT事業(データセンターソリューション事業)に関する国内市場向けの事業戦略説明会を開催した。先月発表されたIoTプラットフォーム「EcoStruxure IT」を国内発表したほか、2020年に向けて、新たに大規模データセンター顧客や“非IT(Non-IT)”セグメントへの取り組みを強化するといった事業方針を示した。
シュナイダーエレクトリックでは、IT事業としてデータセンター/サーバールーム向けの大型/小型UPS(無停電電源装置)、電源/空調製品および管理ソフトウェア、ラック製品などを提供している。
発表会に出席した日本法人 代表取締役の松崎耕介氏は、幾つかの調査/予測資料に基づいて、2020年までをめどとする今後数年間の事業戦略を説明した。
まず、データセンター向けソリューション事業に関して、IDC Japanによる予測資料(2016~2021年)を引用しながら、データセンター規模や電力密度についての2つのトレンドを説明した。データセンター規模の面では、中規模/大規模データセンターも維持されつつ、クラウドサービス向けの超大規模データセンターが特に伸長してくる。また、サーバーの高性能化と仮想化技術の浸透により、ラックあたりの給電容量の高い「高密度データセンター」(3~6kVA/ラック)が主流になってくる。
こうした動向を背景に、数年前からフォーカスしてきた中小規模データセンター向け展開に加えて、新たに大規模データセンターへのハイタッチアプローチにも注力していく。松崎氏は、中小規模データセンター領域ではパートナー経由の展開で「2ケタ成長」を続けているが、大規模向けはハイタッチアプローチで行くと説明。外資系のグローバルクラウド事業者では、すでに海外でシュナイダー製品を導入しているケースも多く、こうした顧客がひとつのターゲットになると語った。
また、大規模化/高密度化が進むことで、エネルギー/インフラ管理に対する要求が複雑化しているデータセンター顧客に対し、グローバルでの豊富な実績と知見を提供するための組織として、今年4月に「Data Center Regional Application Center(DC RAC Japan)」を開設したことも紹介した。現在は20名規模だが、松崎氏は今後も「もっと(人員を)増やさなければならない」と述べている。
もうひとつ、シュナイダーが独自に国内のUPS市場規模を調査したデータも明らかにした。それによると、データセンターやサーバールーム、PCなどを保護対象とするIT分野(約450億円)以外にも、非IT分野でも約230億円の市場があるという。松崎氏は「これまでNon-IT分野の規模は、IT市場の1~2割程度だと思っていたが、実際には半分以上もの規模があり、かなり驚いた」と語り、一方で今後、IT分野におけるサーバー台数の減少も予測されることから、この非IT分野でのビジネスにも注力していく方針を示した。
松崎氏によると、すでに国内市場でも、POSレジ、医療機器、電車の駅務システム、監視カメラ用PoEスイッチなどで、同社製のUPSが採用された事例があるという。APCブランドの単相UPSは国内トップシェアを持っており、パートナーとともにこうした分野やIIoT(産業向けIoT)などの新分野への展開を進めていく考えを示した。
なお、グローバルでは9月から提供を開始したEcoStruxure ITに関しては、2018年度末からの国内提供開始を予定している。松崎氏は、EcoStruxureは共通アーキテクチャで構成されており、シュナイダー製品だけでなく多様なサードパーティ製品が接続できるIoTプラットフォームであること、エッジからクラウドまでのITファシリティをカバーし、運用状況の把握だけでなく高度な分析も可能であることなどを紹介した。
まとめとして松崎氏は、2020年に向けた目標として、小型UPS市場でのシェアを現在の1.3倍に、またデータセンター市場でのシェアを2倍に拡大すること、IoTビジネスにおいて2ケタ成長を実現することを挙げた。