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こうして僕は作曲家になった、DTMと景山将太の出会い

2017年10月09日 09時00分更新

文● 編集● 貝塚/ASCII.jp

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作曲家 kors kが紹介!
YAMAHA×ASCII.jp「kors k Cubase Tips」

第4回「実践的なエフェクトの使い方と、kors k直伝トラックチェーン」

 前回までで、よく使う機能をショートカットキーにアサインすることで、作業スピードの向上を狙った機能などを紹介してきました。

 今回は、より実践的なエフェクトの使い方や、僕のトラックチェーンなんかを、前編と後編に分けて紹介していきたいと思います。

・まず理解しておきたいこと!

 その楽器や素材が持つ周波数帯域などを把握してあげることが大事です。低域が元々入っていない音の低域をカットしたり、ブーストしたりしても、元々音が鳴っていない帯域なので意味があまりありません。

 その音の美味しい部分(どこに周波数が集中しているか)をアナライザーなど使ってキッチリ見極めましょう。

 また、エフェクトをかける前に、パンやボリュームでバランスを作ることを優先に考えましょう。

 例えば「ミックスの低域に迫力がない」なんて状況をよく耳にするのですが

 EQやエフェクトでローを持ち上げるより、単純に低域のトラックのボリュームを上げてあげる方が、結果的に望んだ音に近づくと思います。

・EQ編

 基本的に、周波数をカットしていく使い方をしています。

 僕の体感だと、持ち上げたい帯域よりも、もっと下をカットすると欲しい部分が前に出てきます。

 ご存知の方も沢山いるかと思いますが、チャンネルEQはバンド毎にカーブを選べます。

 僕が最近好んで使っているのはチャンネルEQのハイカットモード2で、Qを5~6くらいの狭めのQで超高域はカットしつつハイ上げする設定です。

・コンプレッサー

 「音を圧縮するのがコンプレッサー」とよく耳にしますが、僕は、水が流れているホースを手で掴むイメージを持っています。

 水道から出ている水の量(入力ゲイン)が多くなればホースの出口の水の量も「チョロチョロ」から「ジャバジャバ」と勢いが増しますね。

 その途中のホースを手で握るとホースは狭まり、少ない水量でも出口の水の勢いは増します。

 この”ホースを握ったりする行為”がコンプレッサーになります。

 ホース自体の素材の硬さ(Threshold)、どれくらいの力で握るか(Ratio)、握る手の反応速度(Attack、Release)

 パラメーターのイメージは上記のように考えています。

 コンプレッサーをかけると圧縮されてまとまったように聞こえます。

 ひとつ「枠」を作ってあげるイメージです。

・リバーブ/ディレイ

 広げたり奥に持って行ったり空間を埋めたり……空間系はその名の通り奥が深い!

 昔はマシンパワーが非力だったのでセンドリバーブを使っていましたが、最近はインサーションで挿すことが多いですね。やりすぎは禁物ですが、分かりやすくかかってくれないと意味がない。

 そうした場合は空間系の後にコンプレッサーやマルチバンドコンプレッサー、サチュレーターなどでリバーブの残響音ごとガッツリ持ち上げて音作りしてしまいます。

 センドで空間系を使用している場合、センドトラックをサイドチェインコンプしても面白いです。

 僕がピアニストのまらしぃ君と組んでいるユニット「maras k」では、レコーディングしたグランドピアノをデジタルな楽曲に乗せるスタイルで活動しています。

 そのときに多用した技で「ピアノのセンドリバーブにサイドチェインコンプ、もしくはサイドチェインゲートを原音のピアノをトリガーにサイドチェインする」と言うのがあります。

 原音がなくなったときにセンドリバーブを持ち上げる(もしくはバッサリ切る)と言う手法です。

 ボーカルにもかなり効果的だと思いますので是非試してみてくださいね。

・モジュレーション

 コーラス、フランジャー、オートパンはすごくよく使います。

 16分クローズハットやアルペジオをオートパンで左右に散らしてあげると空間が広がって聞こえます。

 LFOはカッチリ周期が合っていてもいいのですが、ランダムに設定してみてもトリッキーで面白いです。

 写真はお気に入りのXfer LFOTool。オートパンにも使いますし、サイドチェインコンプレッサーとしても使っています。超便利!(記事4-写真7.jpg)

 フランジャーとコーラスは滲ませつつ広げるとき、ボーカルなんかにも薄くかけたりします。

 次回後編では、最近主流のプラグインに焦点を当てていこうと思います!

kors k(S2TB Recording)

 音楽プロデューサー、アーティスト、DJ。ハードダンスミュージックを主軸としているものの、カバーしている音楽スタイルに限りはない。ハイクオリティーで斬新な音作りに魅了されるファンが各国に多数存在する。

 「beatmania」を始め、各種リズムゲームのシーンにおいて絶大な人気を誇るトラックメーカー。その傍ら、アニメ関連の楽曲やJ-POPのリミックス、国内外のレーベルからのリリースなどその活躍範囲は広く、トータルで500曲以上におよぶ楽曲群を世に送り出している。teranoidやEagle、StripE、といった名義でも活動。現在はDJとしてクラブやイベントのステージでも活躍しており、国内のみならず北米~アジア各国~ドイツなどでもライブを重ねている。

 自らのレーベル「S2TB Recording」から多数のCDをリリース。遂には2014年6月に、アルバム「Let's Do It Now!!」をリリースしメジャーデビューを果たした。

 音楽制作ソフト「Cubase」、譜面制作ソフト「Dorico」の制作に役立つ様々なTipsをお届け! ぜひフォローしてご活用ください! Creativity First!!

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