世界初の量産型トゥルーワイヤレスイヤホン「EARIN」が発売されたのが2015年末。以降、このタイプの製品リリースが活発です。
左右のユニットをつなぐケーブルがあるBluetoothイヤフォンを半ワイヤレスとすれば、全ワイヤレスとでも言うべきがこのタイプ。しかし、スマートフォンからイヤフォンジャックが消滅しつつある時代の主流に成り得るのかと言えば、まだまだ無理でしょう。どれも価格が高いから。
初代EARINは2万円台半ば。オンキョーの「W800BT」も2万円をやっと切った程度。最新機種のAirPodsも1万6800円です。まだ新しモノ好きのガジェットの域を出ていない。
ところが2016年の秋口くらいから、Amazonなどの通販サイトで、メイド・イン・チャイナの全ワイヤレスイヤフォンが売られるようになりました。たとえばGRDEというブランドのこの製品ですが。
5000円台とはいきなりの庶民価格。半ワイヤレスだって、これくらいの値段になったのはつい最近です。こんな安くて本当に使えるのか。しかも、この製品と外観、スペックともによく似たものを、EGRD、OKCSC 、HOT SKYという別のブランド、あるいは販売業者が扱っているのも気になります。
とりあえず安い全ワイヤレスがナンボのものか、試しにGRDEの製品を買ってみました。結論から言って、最初期の同ジャンル機種よりオーディオ機器として基本性能で勝る部分もあり、なかなかあなどれません。
製品名は「S-E6」だった
まず概要から説明しましょう。この製品に型番やペットネームはありません。Amazonの販売ページにも、パッケージにも書かれていません。公式のウェブサイトにも「True Wireless Earphones」とあるのみ。
ただマニュアルの表題に「S-E6 User Manual」とありました。これをもって以降、この製品を「S-E6」と呼ぶことにします。このマニュアルには日本語での記載もあり、また本体には技適マークも付いているので、日本国内で使っても問題ありません。証明番号には左右で違うものが振られています。
イヤフォンとしての形式は密閉カナル型で、ドライバーは8mmネオジウムマグネットを使ったダイナミック型。一見すると耳掛け式のスポーツタイプのように見えますが、これは耳孔の少し上のくぼみで本体を支えるイヤーフックです。
Bluetoothの規格は4.1+EDRで、個々のプロファイルは明記されていませんが、 マイク内蔵でヘッドセットとしても使えます。記載がないので低遅延コーデックのaptXには対応していないのでしょう。