楽天と米AirMapは3月15日、国内の商用ドローンサービスと空域管理者に対して無人航空機管制(UTM:Unmanned Traffic Management)ソリューションを提供する「楽天AirMap」の設立を発表した。
楽天は2016年4月にドローンを活用した配送サービス「そら楽」で商用ドローン事業に参入しており、2017年2月にはAirMap社の投資ラウンドにも参加。楽天AirMapが提供するUTMプラットフォームを利用することで、空港や地方自治体の空域管理者はドローンの飛行状況の把握のほかドローン飛行承認の自動化、ドローン運用者へのSMSや電話での直接連絡が可能となる。また、ドローン運用者は近隣飛行エリアの規則を照会して作成した飛行計画を、近隣の空港や当局と共有できる。
楽天AirMap設立発表会とその後開催されたパネルディスカッションには、米国連邦航空局前COOのディビッド・グリズル氏が登壇。「飛行機とドローンの管制には違いがある。アメリカでは飛行機に1日当たり6万5000の管制を行なっているが、これがドローンでは数100万という単位になる。つまり、今までの管制システムでは対応できない」とコメント。ドローンの無人管制の重要性を示した。
経済産業省 製造産業局産業機械課長の片岡 隆一氏は「安倍首相は平成27年に早ければ3年以内にドローンを使った荷物発送を可能とすることを目指すと発言した」と語り、日本での商用ドローンのロードマップを解説。今年から福島県のロボットテストフィールドでUTMシステムの開発と実証を開始するなど、国としての取り組みを語った。
続いて行なわれたパネルディスカッションでAirMap社共同増業者兼CEOのベン・マーカス氏は「ドローンは最初レクリエーション用だったが、現在は日々の生活に役立つ存在になった。今後飛躍的に普及すると考えている」とコメント。片岡氏は「ドローンでいちばん重要なのは自律性と安全性の担保。UTMがそれらを担っていく」と語った。
NEC 新事業推進部兼電波・誘導事業部 誘導観測システム部の西沢 俊広氏は「飛行機は数が少ないので人が安全を担保できる。しかし、ラスト1マイルがドローンに置き換わると1時間に100台のドローンが空を飛ぶ。これは人では管制できない。ドローン自身でセンシングするのも重要だが、地上からの監視も重要」と語った。