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超高性能GPSで作る空の道の精度は数cmオーダー!

空の安全を確保する飛行機「チェックスター」を見に行った

2016年12月24日 12時00分更新

文● 藤山 哲人 編集●北村/ASCII.jp

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東京オリンピックに向けて
羽田の発着枠を確保せよ!

 この着陸・出発ガイドは頻繁に更新が行なわれる。冬は北風が多いので、南から北に向けて着陸・出発を行なうが、夏になると北から南に向かって行なう傾向がある。

 ここまで飛行機の離着陸に詳しくなったあなたなら(笑)、どうすれば枯渇する羽田の発着便枠をもっと広げられるのが理解できるだろう。

現在の羽田:北風時の離着陸機。赤が着陸、青が離陸機

 羽田空港の展望デッキで空を見上げたことがある人は、よくご存知のとおり。北風のときは千葉側に十分な直進区間があるので、ほとんど2機同時に着陸させている。コレすごく効率的。

 でも出発機は、かなり右に急旋回して飛んでいくので、2機同時に離陸させるのは危険(車を運転しててカーブだと2車線あっても隣のレーンに気を使うのといっしょ)。なので離陸機は、片方の滑走路しか使わなくなり、離陸機の大渋滞が発生。すると滑走路が空かないので着陸機が降りられないという悪循環にはまるのだ。

 それでもD滑走路(もの凄いUターンをさせて、着陸機の進路を横切るのでかなり荒業)を使って発着枠をなんとか増やしているというのが、今の羽田現況だ。これでさばける飛行機は、80機/時間が限界。

オリンピックまでにはこうしたいという案:北や西に向かう離陸機は荒川沿いに飛ばし、騒音を抑えながら高度を稼ぐ

 新案は、問題の根源となっている出発機の急カーブをなくし、荒川沿いを飛びながら高度を上げていくという方法だ。さらにD滑走路からの出発機は、着陸機の進路を横切らない南へ向かう便と国際線が使う(ただしコレは昼間の時間帯で、早朝と夜間は騒音防止で、海上を飛行させる)。

 こうするとさばける機体が90機/時間まで増えるため、昼間の8時間の発着枠を広げると10機×8時間で80機の枠が増えるという計算だ。

 そこで、電車で言う試運転をチェックスターが行ない、うまく荒川沿いをトレースできるのか? パイロットや飛行機のロードワークに問題がないか? VOR/DMEの精度に問題はないか? などをチェックしていくのだ。

 ちなみに次は南風の場合。どこが問題なのかはすぐにおわかりだろう。離着陸機が互いの進路を横切るという大技を繰り返し、無理くり飛行機をさばいているのだ。

現在:南風時。もう進路交差しまくり。お盆は離陸も着陸も相当待たされるはず。これも捌けるのは、80機/時間

オリンピックまでにはこうしたいという案:都心上空をILSを使って誘導して2機をほぼ同時に下ろせる。これで90機/時間捌けるようになる

 一方、飛行機のエンジンは新型機の登場でどんどん静かになっている。空港見学をしたことがあればおわかりのとおり、ボーイング777や787などは、飛び立ってしまうとかなり大きく見えていても音は小さいのだ。おそらく昼間に都心の上空を旅客機が通過したとしても、うるさいと感じる人は昔よりも少ないだろう。

最新機種はどんどんエンジン音が静かになっている。また昔ほどキーン!という高い音がしなくなった

 現在は、できるだけ都市の上空を飛ばないよう、グニャグニャ曲がって離着陸している。先に紹介したレーダー画面で、飛行機の軌跡がややこしかったのはこのためだ。

 羽田国際線増便の目的は以下のとおりで、海外からの渡航客も爆発的に増えるため、羽田の発着枠を増やす必要性がある。

  • オリンピック/パラリンピックを円滑に開催
  • 首都圏の国際競争力を強化
  • より多くの外国人観光客のお迎え
  • 地方を元気に

 そこで、離着陸ルートの変更を検討しているわけだ。新ルートが決まった際にはチェックスターが安全運航に問題がないかチェックするのだ。

2020年には都心の上空を羽田に向かって同時に着陸する勇士を見られるだろう

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