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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第487回

望遠レンズを持って河原の猫たちを撮ってみた

2016年12月09日 12時00分更新

文● 荻窪圭/猫写真家

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猫常連のおばさまが帰ろうとしたその時……

 次に登場するのは白くてふさふさの猫。

 ずいぶん昔からいる冬になると思い出す長毛猫である。

 今日は姿見ないな、と思ったら、こんなところにちょこんと座ってたのだ。

 自販機の上って暖かいんだろうか? なぜわざわざ端っこにいるんだろうか。

青い自販機に白い猫。背後の土手の上を自転車が走っていったのですかさず撮影。冷蔵庫って放熱のために周辺がほんのり暖かいわけで、自販機もそうなのかもしれないなあと思う(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

青い自販機に白い猫。背後の土手の上を自転車が走っていったのですかさず撮影。冷蔵庫って放熱のために周辺がほんのり暖かいわけで、自販機もそうなのかもしれないなあと思う(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

 あまりに気持ちよさそうにじっとしてて逃げそうにないので望遠で顔のアップを。

ほわーんとしてますな。長毛猫はアップで撮ると暖かそうなのでお勧め。白い猫はプラスの露出補正を忘れずに(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

ほわーんとしてますな。長毛猫はアップで撮ると暖かそうなのでお勧め。白い猫はプラスの露出補正を忘れずに(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

 この長毛白猫をいろんな角度から撮らせてもらおうと回りをうろうろしてたら、急に起き上がって自販機から飛び降り、走り出し、土手への階段を駆け上がったのである。

 何事かと思ったら、猫常連におばさまが帰ろうとしてたのだ。

 今日はもうおしまいよ、といいながら振り返りもせず去って行くおばさまと、後を追うふさふさ猫。

おばさまの背中を追いかけていくふさふさ猫。後ろから見るといろんな色の毛が混じってるのであった(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

おばさまの背中を追いかけていくふさふさ猫。後ろから見るといろんな色の毛が混じってるのであった(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

 どこまで追いかけていくように見えるが、そんなことはない。猫には縄張りがあり、自ら縄張りの外へ出ることは決してないのである。

 この猫の縄張りはここまで。土手の上には絶対に上がらないのだ。すぐ下で見送るのである。

土手に上がる直前で止まった猫。このあと、土手の少し下を歩いた後、あきらめて下りてきた(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

土手に上がる直前で止まった猫。このあと、土手の少し下を歩いた後、あきらめて下りてきた(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

 これが猫の面白いところ。

 昔、まだ多くの家が猫を放し飼いにしてたころ、うちの猫は私が出かけようとすると追ってきたのだが、いつも途中までで「これ以上は結界が張られているからいけないのだ」というような顔で立ち止まるのである。

 久しぶりにそんな姿を見た。

 さて帰ろうかと私も階段を上り、土手を歩いていると、眼下に河原に建っている廃屋が見える。

 かつては土手に木々が密集していて隠れてたのだが、最近工事がはじまったせいで、多くの木が伐採されて見通しがよくなり、なぜか壊されずに残っている廃屋を見下ろせるようになったのだ。

 ああ、上から見るとこんなだったんだと見てると、屋根の上になんかいるではないか。

 一度しまったカメラをもう一度取りだしてみると、やはり猫である。屋根の上に上った猫が爪を研いでる姿を発見。

ぼろぼろの廃屋に猫は似合う。安全な場所だとわかっているのかえらくのんびりと(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

ぼろぼろの廃屋に猫は似合う。安全な場所だとわかっているのかえらくのんびりと(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

 このハチワレ猫、屋根の上をさんざん探検。

 この廃屋、工事現場のど真ん中にポツンと放置されており(何らかの権利の関係で取り壊せないんだろうか?)、もう人は住んでないので、もしかしたら中は猫の家になってるのかもしれない。

不安定な屋根の上を散歩中。適当にトタンを並べて重しを置いただけのような屋根だけど、猫的にはそれはそれで楽しそうである(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

不安定な屋根の上を散歩中。適当にトタンを並べて重しを置いただけのような屋根だけど、猫的にはそれはそれで楽しそうである(2016年11月 オリンパス OM-D E-M1)

 工事がはじまったときは、猫はどうなったろうと心配になったものだが、もしかしたら今の方が誰にも邪魔されずに雨風を凌げる場所があるだけ猫にとっては快適なのかもなあと思う次第である。毎日猫に会いに通う人たちが何人もいることだし。

 そんなこと考えながら猫の姿を望遠レンズで追ってたら、屋根から飛び降りた八分け猫が突然こっちを向いた。

 見てたのがバレたんだろか。

こっそり遠くから見てたつもりが目が合ってどきっとしたの図。後ろ足が白い靴下を穿いているようでかわいい(2016年11月 ニコン D5600)

こっそり遠くから見てたつもりが目が合ってどきっとしたの図。後ろ足が白い靴下を穿いているようでかわいい(2016年11月 ニコン D5600)

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筆者紹介─荻窪圭


著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/


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