さまざまな時計と比較しても魅力的な「エコ・ドライブ ワン」
パッケージは旧来の高級腕時計やライカカメラのようなデカくて重くてずっと置いておくには相当のスペースと覚悟を要するものだが、中身のエコ・ドライブ ワンは極めて軽くて小さい。
パッケージの最下段の引き出しには、黒を基調カラーにした取説や保証書、オーナーズクラブ(登録だけで3年保証)などが統一されたデザインで収納されている
保証書や取説、オーナーズクラブ案内や注意事項はまずすっ飛ばして、すぐにエコ・ドライブ ワン本体を取り出して、筆者が今も愛用するシチズンの代表的な腕時計と比べてみた。
筆者が日常使っているシチズンのモデル。左から昭和中期の手巻き時計、世界初の多極電波腕時計、「ザ・シチズン」、今回の「エコ・ドライブ ワン」
親父の代から引き継いだ昭和中期の腕時計や世界初の多極電波時計、サラリーマン時代に清水の舞台から飛んだつもりで買った10年保証の「ザ・シチズン」、ただのクォーツウォッチなのに、筆者所有のものは年差2~3秒と驚異的。デザインもビジネスマン用腕時計としてこれの右に出るものを見たことがない。そして今回のエコ・ドライブ ワンだ。
こうして過去の逸品をいくつか並べてみると、シチズンという会社は、全般的には極めてなマトモで地味で堅実な腕時計を製造する会社だと理解できるが、世界初の多極電波腕時計のように、ほとんど電波受信アンテナしか見えないクレージーなデザインを堂々と製品化してしまう。
間違いなく筆者が長年、強くシチズンに惹かれて多くの腕時計を衝動買している最大の理由だろう。
左から上品なエコ・ドライブ ワン、西海岸のドヤ顔腕時計「Devon」。アルチメイト好きな世界最大の「G-SHOCK」
広く世界に目を向ければ、筆者が見た瞬間に欲しくなって衝動買いしてしまったDevon Watchの「Tread 1」や、目立つことを常套手段としているカシオ「G-SHOCK」など、飛びつきたくなる腕時計会社は多い。
Devonは極めて狭いユーザーセグメントに向けて発信したテンションの高い腕時計で、一見して腕時計ではないイメージの変態腕時計なので納得だろう。
一方、カシオはG-SHOCKを従来の固定した若いG-SHOCK世代だけではなく、大人な高額のG-SHOCKがやけに目立つようになってきた。毎年年齢を重ねて行く過去のG-SHOCK世代にもリフォーカスした、新しいG-SHOCKを目指しているのだろう。
左から、メーカーがコミットするState of The Art的なエコ・ドライブ ワン、優等生らしい雰囲気は備えているが、コスパを除外するとどこか誰かに似ているちょっと寂しい「knot」
そして、最近にわかに注目を浴び、筆者も愛用している「knot」腕時計は、リーズナブルな廉価版のミニマルデザインで登場した新進の腕時計メーカーだが、すでに廉価版ユーザーからシフトした上位機種へ動きはじめているので、筆者としては今後が楽しみだ。
そんな個性的な腕時計と比べてもエコ・ドライブ ワンは別格の偏執狂的腕時計だ。最大の特徴である「世界最薄」(アナログ式光発電腕時計として)は、他の腕時計と一緒に手に持って見てみれば、その違いはもう明白だ。
とにかく実物に触れるとこの薄さに惑わされ、ほかをチェックする感覚が麻痺してしまう
機能が大幅に違うので単純比較はかなり大胆でおかしいが、エコ・ドライブ ワンを、筆者愛用の分厚い腕時計「グランドセイコー・スプリング・ドライブGMT」と較べてみたら、そのサイズ感はあまりにも大きく違うのが一目瞭然だ。
エコ・ドライブ ワンは実際の見た目だと、目の錯覚で付属のステンレスベルトの方が腕時計本体より多少分厚く感じてしまう(実測では0.5mm程薄い)。
実際に筆者の購入したエコ・ドライブ ワンの厚さを、「0.01mmまで測定できる」と言われて買った電子ノギスで測定してみたところ、実測は3.1mmだった。
これは、エコ・ドライブ ワンのカタログに記載されているスペック値(設計値)である2.98mmよりも0.12mm分厚いが、設計値との誤差はマルチプリンター用紙1枚分だ。
ちなみに世界最大をうたうカシオのG-SHOCKは実測16.9mm。若者に人気のknotで実測6.72mmだった。

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