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日本初の素材採用で音の奥行きがすごい無指向性スピーカー「TS1000F」

2016年11月25日 12時00分更新

文● 四本淑三

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特にハイレゾでなくても十分楽しめる

 プレゼンテーションでは、各種ハイレゾ音源の試聴と同時に「こうした音源でも十分に楽しめます」ということで、Spotifyのストリーミング音源も再生された。再生装置が優秀であれば、音源を問わずそれなりに鳴るものという説得力が感じられた一方、音源が変わると解像感やレンジ感にはっきり差が付いてしまう点で、これはTS1000Fの再生能力の裏付けにもなっていた。

 無指向性ということでスピーカーレイアウトの自由度は高く、部屋のどこにいても立体的な音場感が楽しめる。そうした基本性能に加え、高解像度のハイレゾ再生能力が加わったという点で、ほかにない魅力的な製品に思えた。

 また、ハイルドライバーは単体でも需要はありそうだ。その展開例として、会場にはこのツイーターをインストールしたTOYOTA 86も展示されていた。展示車は福岡のカーオーディオショップ「Sound Suspension」のデモカーで、システムをインストールした代表の坂井敏美さんは、いかにもクルマの好きそうな感じの方だった。

 ちなみに私はTOYOTA 86に乗るのは初めて。ハチロクだというから大昔のAE86のつもりで乗ったら、アルピーヌみたいな着座姿勢でびっくり。なにしろ狭い。「デモカーがコレなのはキャビン容積の小さいほうが音響面で有利だから?」と聞いたら、単に「このクルマが好きだから」という答え。愛されとるなあ、ハチロク。

 出音も良かった。高解像度のツイーターを使ったシステムらしく、さすがに音の奥行き感がある。特に金管楽器はフロントスクリーンの向こう側から音が飛んで来るようなイメージで、運転しながら聴くのはさぞや楽しかろうという気がした。ちなみに、チューニングがバッチリ決まっているので「これはインパルス応答みたいな方法で測定したんですか?」と聞くと「それは嫌いだから耳で」という、これまたいかにもな答えが返ってきて楽しかった。

これが車載用ツイーターユニット。指向性が広いせいで左側とのバランスも良好

 気になるのはツイーター単体の価格。ちなみにTS1000Fは、2011年に発売された「TS1000」のツイーターをハイルドライバーに装換した上位バージョンで、価格はTS1000のワンペア27万0000円から10万円近くアップしている。これをそのままハイルドライバー分の差額と考えると、単体のパーツとしても結構なお値段になりそうだが、果たしてどうなるのだろう。いずれにしても広島のオーディオブランド、Egrettaのこの先の展開が楽しみだ。

スピーカーユニット:5㎝ポリマー・クレイ・コンポジットフィルム・ハイルドライバー/13㎝ポリプロピレン・コーン型
インピーダンス:8Ω
最大入力:50W
出力音圧レベル:87dB/2.83V/1m
周波数特性:44~45kHz
エンクロージャー:バスレフ型
重さ:1本およそ11.2kg
サイズ: 幅330×奥行き330×高さ960mm
価格:2本一組で37万8000円

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著者紹介――四本 淑三(よつもと としみ)

 1963年生れ。フリーライター。武蔵野美術大学デザイン情報学科特別講師。新しい音楽は新しい技術が連れてくるという信条のもと、テクノロジーと音楽の関係をフォロー。趣味は自転車とウクレレとエスプレッソ

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