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日本ではオールドスタイルのSIerがイノベーションを阻害している

オンプレミスのクラウドプラットフォームを目指すNutanixの戦略

2016年11月08日 07時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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Software-Defined Storageからストレージの仮想化に切り込み、ハイパーコンバージドインフラの原型を作り上げてきたNutanix。最近ではレノボやデルなどへのOEM供給も始まり、ハイパーコンバージドインフラからAPI連携可能なクラウドプラットフォームに成長している。同社の戦略について、米Nutanixのサディーシュ・ナイル氏に聞いた。(以下、敬称略)

米Nutanix プレジデント サディーシュ・ナイル氏

Nutanixはあくまでプラットフォームを提供する企業だ

――競合となるハイパーコンバージドインフラ製品が増え、パブリッククラウドが台頭してきた中で、御社のメッセージは変わったのでしょうか? まずお聞かせください。

ナイル:メッセージはなにも変わっていない。2009年にNutanixを設立した当時から市場の変化を目にしていたので、訴えていたのは「What?(なにを)」ではなく、「How?(どのように)」ということだ。

たとえば、2001年はiPodを発売した年だが、同じ年にマイクロソフトも同じようなミュージックプレイヤーとしてZoomを出した。iPodはうまくいったが、Zoomはうまくいかなかった。なぜか理由を考えたら、アップルはミュージックプレイヤーを作ったのではなく、それを取り巻くエコシステムを作ったからだ。iTunesを作り、AppleStoreを作り、iCloudを作った。

われわれも長らくプラットフォームを作り上げたいと考えていた。最初に使えるアプリケーションがストレージだっただけだ。当時はEMCやネットアップにとって変わる差別化だったわけだが、いまも自分たちはハイパーコンバージドインフラのベンダーだと考えてはいない。あくまでプラットフォームを作る会社だ。

――プラットフォーム戦略の中で重要な「Acroporis」と「Prism」について教えてください。

ナイル:設立当初、われわれの課題はストレージのコストだった。ストレージはいつでも高コストだ。SDS(Software-Defined Storage)であるAcroporisは言わば、アップルのiOSのようなものだ。お客様はiOSの存在を意識しているわけではないが、システムを支える重要なものだ。一方で、PrismはiOSを支えるiTunesのようなもの。音楽を購入したり、アカウントを管理するといったエコシステムを提供する。

――PrismはGUIを提供するような存在なのでしょうか?

ナイル:データセンターのオペレーションはほとんど自動化されるべきだ。Prismは問題をビジュアルで確認できるGUIも持っているだけではなく、自動化に寄与するREST APIも持っている。

パブリッククラウドからNutanixへの移行組も多い

――パブリッククラウドのビジネス伸張は御社にどのような影響を与えているのでしょうか?

ナイル:クラウドの台頭はIT業界に大きなディスラプト(破壊)をもたらしている。技術面ではなく、むしろ消費モデルの面で大きな影響を与えている。Nutanixとしては、こういったパブリッククラウドの台頭がなければ、自身のビジネスが成立しなかったと考えている。なぜなら、お客様はインフラをバイトサイズで消費できると考えるようになってきたからだ。パブリッククラウドの台頭により、インフラの複雑性を隠せることを理解しつつあり、こうしたものを自社のデータセンターに取り込みたいと考えるようになった。その結果として、そういったお客様はNutanixに行き着く。

――だから、先ほどAWSやAzureをデータセンターに持ち込めるというメッセージングになるのですね。

ナイル:その通りだ。パブリッククラウドの使いやすさを体験したお客様が、これをデータセンターに持ち込みたいと考えるわけだ。とはいえ、エンタープライズのデータセンターには、LANもあるし、バックアップや重複排除なども必要になる。だからわれわれもパブリッククラウドをデータセンターに持ち込めるという提案になるわけだ。

――そういったメッセージが刺さるのはどんなユーザーでしょうか? 簡潔に言えば、どのようなユーザーがNutanixを導入しているのでしょうか?

ナイル:もっとも典型的なのはエンタープライズのお客様だ。IT部門はセキュアなインフラを提供することに責任を持っているが、開発者はスピードを求め、IT部門の許可なくクラウドに移行してしまう。こうしたギャップがあり、スピードを求める企業がNutanixを導入する。弊社のお客様の中では、小売事業者のベストバイの事例が典型的だ。

そのほか、古いインフラでサポートが切れしてしまうため、トランスフォームを求めるお客様や、規模が拡大してしまっためパブリッククラウドの方がコストがかかるようになってしまったスタートアップもいる。パブリッククラウドからデータセンターに戻したいが、古い方のアーキテクチャやインフラ管理では困るという場合に、Nutanixに移行するわけだ。

――なるほど。AWSやAzureからNutanixを使うというパターンもあるということですね。

ナイル:「快適だからと行ってホテル住まいをしていたら、結局高額になってしまうので、やはり住宅を買いたい」みたいな例かもしれない。実際、多くのお客様がパブリッククラウドからNutanixに移行している。アプリを最初に展開する段階では少額だが、3年のコストとして考えると、パブリッククラウドはかなりコストがかかる。

――ハイパーコンバージドインフラの競合との差別化ポイントを教えてください。

ナイル:前述したとおり、われわれはハイパーコンバージドインフラの会社ではない。市場は成長しているところだが、他社はようやくコンバージドの市場に足を踏み入れている。われわれはいくつかの面で、次へのステージに上がりつつあり、他社に比べて優れた点を持っている。

1つ目の違いは多くの選択肢を用意している点だ。90%のハイパーコンバージドインフラはVMwareのみの対応だが、NutanixはVMwareだけではなく、ハイバーバイザー、コンテナ、OpenStackなど多くの選択肢を提供している。2つ目は柔軟性だ。他社の製品は、古いアーキテクチャを採用しているので、スケールアウトできない。Nutanixは創業当初からWebスケールを重視しているので、拡張だけではなく、縮小もできる。しかも、すべて無停止で、アップグレード可能だ。もう1つはアナリティックスの機能だ。問題を検知して単にアラートを挙げるだけはなく、修復まで自動で行なえる。

――最近の新機能のアップデートを教えてください。

ナイル:最近だとベアメタルのサポートだ。従来のハイパーコンバージドインフラは仮想化環境が前提だったが、Acroporisの強化でわれわれの製品ではベアメタルでも利用できるようになった。また、対応するコンテナのポートフォリオの強化を図った。

――先日のPermixdataとCalm.ioの買収で、製品はどのように進化するのでしょうか?

ナイル:最初に言いたいのは、企業が成長するには新しい技術と人材を積極的に取り入れるべきということだ。カリフォルニアでは優秀な人材を確保するのは難しいが、買収によって、最高の人材を雇用することができた。

これによって、今後は3つのA(アクセラレート、アナリスティック、オートメーション)を追求する。パブリッククラウドを土台、仮想化を家の壁、アナリスティックや自動化を家の屋根に例えるなら、この2つの企業の買収は屋根として重要になってくる部分だ。

日本ではオールドスタイルのSIerがイノベーションを妨げている

――現状、Nutanixはインフラにフォーカスしているが、ミドルウェアや開発などを包含したPaaSレイヤーに進む可能性はあるのでしょうか?

ナイル:ジャーニーは複数ある。IaaSにも、PaaSにも限界があるので、将来的には真の意味でのアプリケーションデジバリーサービスが必要になってくる。たとえば、ヘルスケア企業がデータセンターを東京と北海道に持っている場合、両者でDRや負荷分散していきたいと考えるはずだ。こうした場合、われわれはAPIを提供し、NetScalerやF5などと連携するのがよいだろう。同様にSplunkやHortonWorksなどAPIドリブンのサービスは、すべて使えるイネーブラーになりたいと考えている。

――最近は無償のCommunity Editionを提供していたり、ユーザーコミュニティも立ち上げていますね。

ナイル:業界の動きは非常に速い。技術が変化することはチャンスでもあるが、脅威でもある。だからベンダーのわれわれは、可能な限りお客様に近くにいなければならない。それによって、お客様の課題や問題、競合からの提案などをいち早く知ることができる。お客様と切り離すのは会社としての死を意味するし、実際その死のサイクルにはまっているベンダーも見受けられる。

――日本市場の動向と期待を教えてください。

ナイル:グローバルでは製造業、公共、ヘルスケア、金融、小売などの業界がフォーカスしており、日本でもすべての業種でお客様を獲得している。これに加えて、日本ではサービスプロバイダーにも利用してもらっている。

一方、日本で課題となるのはお客様が最新技術を求めているのに、オールドスタイルのSIerがイノベーションをストップさせているところだ。SIerが自分たちのビジネスを優先し、ベンダーがそれに追従しているため、お客様が本当に欲しているものに行き着かない。この課題が日本では克服できていない。

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