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小学生のプログラミング教室はどうなっているか 第2回

文系女子大生のKidsVentureレポート/工作のほうがプログラミングより難しい?

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このままじゃ日本の子供たちがヤバイかもしれない

高橋 こういうIchigoJamやRaspberry Piのようなデバイスで、センサーが使えたり、SIMモジュールで通信ができるようになってくると、いよいよ起業する子が出てくる可能性もあると思っていて、そういう世界になってくるとすごく楽しみだなと思います。

―― なるほど、いまだとそちらですね。

高橋 なんというか、創造性ですよね。起業しなくてもそういう発想があると視野が広くなると思いますし、知らないよりは知ってた方がいいです。

―― IchigoJamのソフトをパッケージの形にして売っているのは、起業のプチ体験っぽいところがありますね。あれは、KidsVentureではなくて松田さんのPCNのほうですか?

松田 そうです。福井にMASAHARUくんっていう今年中学1年になった子がいます。彼は、小学6年生のときにIchigoJamのゲームを100本ほど作りました。そして、パッケージになったゲームはPCNで販売していて、彼のところに売り上げがいくんです。

―― あ、その子知ってます。今年、3~5月にお台場の日本科学未来館でやった「GAME ON」展でIchigoJamを展示させてもらったときに、サンプルコードないかってことで福野さんに相談して展示したんですよ。凧揚げのゲームです。

松田 そうです彼です(笑)。

―― 誰かが、買って使ってくれるというのは人生の中でも得難い経験になりますよね。誰かのためになれるところがプログラミングの素晴らしいところでもあります。ところで、日本はIT人材が足りと言われますけど、そのあたりはどうですか?

松田 僕は、割りとそのあたりの危機感もあってやっています。

―― 福野さんは、むかしよりいまのほうがプログラミングをはじめるチャンスが少ないとおっしゃっていました。

松田 このままじゃ日本の子供たちがヤバイかもしれないというのは感じます。10年後、20年後、まったく社会に通用しない状態になっていたらすごく可哀想じゃないですか? やっぱり、このあたりは親の責任なので、最低限の素養みたいなのは身につけておきたい。

―― それが、日本全体だといよいよ困りますよね。

GAME ONで展示されたMASAHARUくん作・凧揚げゲームとIchigoJam


ちゃんと講師を増やして地域に根付かせて定期的に開催するには

―― KidsVentureって、東京のほかに札幌、大阪、福岡などでも開催されていますけど、これから目指されるところというのは?

高橋 実は、IchigoJamをロボットにするpaprikaを使うのは今回が1回目なんです。いままでは、ゲームを作るところまでのコースしかやっていなかった。このロボットを作るのを定例化できるのか否かっていうのは今後の課題です。

―― 松田さんのほうはどうですか?

松田 IchigoJamの教室って、1回目を受けた子どもたちっていうのはもう数千人単位になってきています。KidsVentureでも、ここでハマった子どもたちが次のステージに行くためにもっと踏み込んだゲームを作ってもいいですね。あるいは、準備された講座じゃなくて僕はこれが作りたいんだけど教えて欲しいみたいな能動的な子供もいるので、そういった子供には家庭教師的な講座を用意するといいと思います。とはいえ、今の段階では次のステップをどうしていくかです。

―― やっぱり次の段階が課題なんだ。今回のロボットの最終目標はどこだったんですか?

松田 今回の最終目標はカルガモロボットっていう前にいる何かを追いかけるロボットです。18台が連なって動くという。先頭におもちゃのトラックを置いてそれを引っ張って、みんなが2日間かけて作ったロボットがぞろぞろ付いてくるっていうのがやりたいんですよ※2。近付きすぎたら止まって、ぶつからないようにっていう。

―― すごくコンピューター的なことが体験できるからいい内容ですねぇ。しかし、KidsVentureは、アシスタントの方をたくさん、講師とあわせて子供2人に1人というようなある意味とても贅沢な体制ですよね。いままで実際にやってきてそこまで必要ということでしょうけど。

高橋 そうですね。ちゃんと講師を増やしていってそこの地域に根付かせて定期的に開催するっていうことも大きな課題だと思っています。

―― 北海道や福井だけでなく地域に浸透させることも目的なんですね。

松田 僕は、ふだんは福井にいるので全国に出かけるのはスケジュール調整も大変なんですよ。なので、これはPCNの活動ですが、全国の300校に流す動画というものをはじめています。

―― なるほど。KidsVentureって、IchigoJamという素材があってそれ自身も進化している。実際にデジタルの現場で活躍されているベンチャーが寄ってたかって取り組んでいるところも面白くて、子供のプログラミングというのは、こう教えるんだという先入観なしに、まさにベンチャー的にいろいろ試みていくのが大切な気がしました。


編集注

  1. さくらインターネット社長・田中邦裕氏は18歳で起業。詳しくは同社HPまで
  2. 完成前にインタビューを行ったため、当日完成しなかったことをまだ知らないふたり

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