日本の電機大手2社が、相次いでOffice 365の大型導入を発表した。
富士通は、同社グループ16万人を対象に「Office 365」を導入。2017年3月にも、グローバルコミュニケーション基盤として活用する。これは、Office 365の導入としては世界最大規模だという。そして三菱電機では、Office 365を活用したグローバルIT基盤を2016年10月1日から稼働。2018年3月には、約14万人の社員を対象に全世界300拠点への導入を完了する計画だ。富士通に匹敵するような規模だ。
両社に共通しているのは、統一したコミュニケーション基盤の導入によりグループ全体のコミュニケーションを活性化し、成長戦略を下支えする基盤に位置づけている点だ。
富士通はこれまで、プライベートクラウドにより、グローバルコミュニケーション基盤を構築していたが、富士通のクラウド基盤を中核とするデジタルビジネスプラットフォームである「FUJITSU Digital Business Platform MetaArc」と、マイクロソフトの統合型情報共有クラウドサービス「Office 365」、クラウド認証基盤「Azure Active Directory Premium 」を連携させ、マルチクラウド型に刷新する。
「Office 365の活用により、富士通は常に最新のコミュニケーションシステムのサービスが利用できるようになり、各部門の業務効率化や変化への対応力を備えたワークスタイルを実現できる。電話とネットワークの統合利用環境の実現のほか、社内向けSNSであるYammerの採用により、グローバル規模で部門間のコミュニケーション強化に加え、知の共有を一層促進でき、継続的な共創力強化を図れる」とする。
また、Azure ADPの採用により、2000を超える他社クラウドサービスと連携。マルチクラウド環境でのシングルサインオンや多要素認証を実現するという。
セキュリティ面でも強化を図る。機会学習を活用した高度なサイバー攻撃検知の実現とともに、富士通独自の手のひら静脈認証などの生体認証機能とを組み合わせ、高い利便性と堅牢なセキュリティを実現するという。
富士通グローバルマーケティング部門長の阪井洋之執行役員常務は、「すでに全従業員の95%がウェブ会議を利用。年間130万回もの利用実績がある。また、社内SNSのコミュニティ数は3600件に達し、コミュニティの中から20件の特許出願が出ている」と、コミュニケーションの強化による成果を強調した。
富士通は、マイクロソフト製品をベースとしたコミュニケーションシステム分野のソリューションを提供するベンダーとしては、国内トップの実績を持つ。現在、国内最大規模となる約120万人のユーザーをサポートしているという。今回の社内導入で得た知見やノウハウは、顧客へのワークスタイル変革を支援するソリューションに反映。富士通のFUJITSU Digital Transformation Centerと、日本マイクロソフトのマイクロソフトテクノロジーセンターを活用した導入促進に向けた連携を強化。Office 365とAzure ADPをベースとした新たなサービスビジネスによって、年間200件以上の商談を展開。2018年度までに年間500億円にまで拡大するという。
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