宿泊客向け“フリーWi-Fi”で抱えていた課題をネットギア製品が解決するまで
家族経営の小さなホテルがコントローラー型無線LANを導入した経緯
2016年09月06日 08時00分更新
海外からの注目も高まるスキーリゾートの村で、手作りの温かいもてなしを
長野県の北西部に位置する白馬村。北アルプスの美しい山々が見渡せるこの村は、冬のスキーやスノーボードだけでなく、春から夏の登山や高原トレッキング、秋の紅葉狩りと、年間を通じて多くの観光客が訪れる人気のリゾート地だ。
そんな白馬村に、家族経営のプチホテル「白馬メルヘンハウス」がある。客室数は全35室。1969年の開業から40年以上にわたって、個人客からグループ、家族連れの宿泊客まで、手作りの温かなサービスでもてなしてきた。
白馬メルヘンハウスのオーナー、松田浩貴さんは、同ホテルの魅力を次のように紹介する。
「ホテルから八方尾根スキー場のゲレンデまで“徒歩200歩”と非常に近く、特に冬場にはスキーを楽しむリピーターのお客様や長期滞在のお客様が多くいらっしゃいます。さらにこの5年ほどは、白馬のスキーリゾートが海外でも注目を集めるようになっていて、海外からのお客様もすごい勢いで増えています」
事実、白馬村の統計データによると、同村の外国人宿泊者数は、2004年の1万人強から2014年には7万8000人弱にまで増加している(いずれも延べ数)。特にオーストラリアからの旅行客が多いそうだ。
多くの訪日旅行客が参考にする旅行情報サイト「トリップアドバイザー」を見ても、白馬八方尾根スキー場は、北海道のニセコ町や長野県の野沢温泉村のスキー場と並ぶ国内トップの高評価を受けている。雪質の良さやゲレンデの広さ、初心者から上級者まで楽しめるコースの豊富さなどに加え、首都圏からのアクセスの良さ、そして宿泊施設からゲレンデへのアクセスの良さが高評価の理由だ。
ホテル業にとって欠かせないサービス、フリーWi-Fiの提供に取り組む
白馬メルヘンハウスでは、10年ほど前から宿泊者向けにフリーWi-Fiサービスを提供してきた。
「そもそもは、お客様から『Wi-Fiはありますか』と尋ねられることが増えたのがきっかけです。考えてみると、お客様は1泊あたり10時間くらいはホテル内に滞在されます。その時間を快適に過ごしていただくために、Wi-Fiサービスは欠かせないものになると考えました」
スマートフォンやタブレットが普及したことで、宿泊客のWi-Fiニーズはますます高まっている。特に訪日旅行客にとっては、携帯キャリアの高額なローミングサービスを使わずに済むホテルのWi-Fiサービスは、とてもありがたい存在なのだ。
「海外からのお客様へのサービスとして、フリーWi-Fiは必須ですね。実際、ホテルに着いてまず、客室はどこか、トイレはどこかよりも『Wi-Fiのパスワードは?』と尋ねられるお客様がすごく多いです(笑)」
フリーWi-Fiの提供を始めた当初は、ホテルのロビーにWi-Fiルーターを1台設置して、それを開放していた。しかし、そのうち「Wi-Fiを使いたいお客様が、一晩中ロビーに集まるようになってしまって(笑)」(松田さん)、各客室内でもWi-Fiが快適に使える環境にしなければならなくなった。
そこで松田さんは、ホテル館内にLANケーブルを敷設し、配管スペースなど宿泊客の目につかない場所に複数台のアクセスポイントを設置した。まず導入したのは、家庭用Wi-FiルーターにフリーWi-Fi提供機能を追加した安価な機種だった。
「これで各客室からWi-Fiが使えるようになったのですが、ベースが家庭用の機種なので動作が不安定でした。月に数回は止まってしまい、そのたびに電源を入れ直さなければならないなど、運用にはかなり手間がかかっていました」
さらに、フリーWi-Fiのネットワークがホテル業務用のネットワークと切り分けられない、接続した宿泊客のデバイスがお互いに見えて(通信できて)しまうなど、貧弱な機能やセキュリティにも不満があった。
海外からの宿泊客が増える中で、新たな問題も発生していた。この機種が提供するフリーWi-Fiサービスが、利用時にメール認証を必要としていたことだ。接続時の画面で利用者がメールアドレスを登録し、返信メールに書かれたパスワードを使って接続する方式だ。
「国内のお客様なら携帯メールを使えばよいのですが、ローミングしていない海外のお客様だと携帯メールが受け取れず、フリーWi-Fiが使えません」
その後、同機種はパスワード認証にも対応するようになったが、今度は各認証方式に対応した多数のSSIDが発信されるようになり、利用客への接続方法の説明が煩雑になってしまった。松田さんは、こうした数々の課題があるWi-Fi環境に大きな不満を持っていた。
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