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NETGEAR製品導入事例

宿泊客向け“フリーWi-Fi”で抱えていた課題をネットギア製品が解決するまで

家族経営の小さなホテルがコントローラー型無線LANを導入した経緯

2016年09月06日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ネットギアは知らなかった、無線LANコントローラーも知らなかった

 ちょうどそのころ、白馬村では村内の宿泊施設を対象に、Wi-Fi整備のための補助金制度を開始した。訪日旅行客の増加に対応し、村内のWi-Fiスポット整備を支援する取り組みだ。

白馬村では平成27年(2015年)、村内の宿泊施設を対象とした「無線LAN環境整備事業補助金」を実施した(白馬村のFacebookページより)

 補助金制度のことを知った松田さんは、これを機に白馬メルヘンハウスのWi-Fi環境を刷新したいと考えるようになった。2015年夏のことだ。

 当初は、利用客がフェイスブックでチェックイン/認証する「Facebook Wi-Fi」を採用しようと考え、その対応機種を探していたという。そこで出会ったのがネットギアだった。

 「正直に言いますと、それまでネットギアというメーカーは知りませんでした。ですが、製品を調べてみると、通信のスピードはいいし、無駄なもの(機能)も付いていない。価格的にも検討していた予算の範囲に入っている。良い製品を作るメーカーだなと感じました」

 このとき松田さんは、Facebook Wi-Fi対応の家庭用機種「R6300」を複数台導入し、客室全体をカバーしようと考えていた。しかし、秋口にネットギアに連絡を取り、担当営業と話しているうちに、業務用ネットワークでは“アクセスポイント+無線LANコントローラー”という形態が主流だと知った。これならばフリーWi-Fiサービスを安定して提供することができ、今まで抱えていたセキュリティや運用管理の不満も一気に解消できそうだ。

 11月下旬にネットギア担当営業が現地に足を運び、予算との兼ね合いも含め検討した結果、802.11n対応のシングルバンド(2.4GHz)アクセスポイント「WNAP320」を16台、これらを統合管理する無線LANコントローラー「WC7520」の導入が決まった。加えて、フリーWi-Fi用/ホテル業務用のネットワークをVLANで切り分けるために、ギガビットL2アンマネージプラス・スイッチ「GS108EV2」「GS105EV2」とヤマハのルーター「RTX810」も導入している。

今回のWi-Fi環境はアクセスポイント「WNAP320」(左)とコントローラー「WC7520」(中)の組み合わせで構成。VLANを構成するため「GS108EV2/GS105EV2」スイッチも採用した

 「予算面では課題がありましたが、ここは近隣の施設とも距離があるので、2.4GHz帯だけでも電波が干渉する心配はないと判断して、比較的安価なシングルバンドのWNAP320をお勧めしました。VLANが使えるL2スイッチも、この価格帯ではネットギア製品しかありません」(ネットギア テリトリーエリアマネージャーの加藤輝信氏)

白馬メルヘンハウスのWi-Fiサービス用ネットワーク概要図

 この年、白馬村のスキーシーズンは12月半ばからスタートした。松田さんのもとにアクセスポイントなどの機器が届いたのはその直前だったが、館内に敷設済みだったLANケーブルが活用できたこともあり、わずか数日で設置を終えた。松田さんは当時を振り返って、「なんとかぎりぎり、シーズンに間に合いました」と笑う。

現在、アクセスポイントは配管スペースなどに設置している。「もともとケーブルを引いていたのでここに設置しましたが、デザイン的にはお客様に見える場所に設置しても問題ありませんね」(松田さん)

無線LANコントローラーによる一元管理は「世界が一新されたような手軽さ」

 厳密に言うと、松田さんのもとに無線LANコントローラーが届いたのは、アクセスポイントなど他の機器よりも少し遅れてのことだった。そのため、松田さんはまずアクセスポイントを1台ずつ設定し、先にフリーWi-Fiの運用を始めていた。これは従来のWi-Fiルーターの運用と変わらない。

 しかし、その後届いた無線LANコントローラーを接続し、アクセスポイントが一元管理できるようになったことで、松田さんはWi-Fi管理が「世界が一新されたような手軽さ」になったと語る。

 WC7520コントローラーは、ネットワークに接続されたアクセスポイントを自動的に検知し、一覧表示する。コントローラーの配下に入ったアクセスポイントには、自動的にコントローラー対応ファームウェアがインストールされ、あとはコントローラー側から一元的な管理、監視ができるようになる。導入は手軽だ。

 「これまでは家庭用の機種しか触ったことがないので、コントローラーを導入するまでは戸惑うかなとも思っていましたが、それほど難しくはありませんでした。導入に際して、ネットギアからは日本語マニュアルを提供いただいたり、メールや電話での技術的な問い合わせにも懇切丁寧に教えていただいたりして、非常に助かりました」

アクセスポイントからはフリーWi-Fi用、ホテル業務用の2つのSSIDが出力されている

 また、新しいフリーWi-Fi環境では「クライアントセパレーション(Client Security Separation)」機能を利用しており、接続したデバイスどうしの通信がブロックされている。宿泊客のデバイスに対するセキュリティも安心だ。

 PCとタブレット、スマートフォンと複数台のデバイスを持ち込み、動画を楽しむような宿泊客も増えているが、新しいWi-Fi環境は十分なスピードが出ており、松田さんは当面この環境で十分だろうと感じている。将来的にさらにトラフィックが増えてくれば、そのタイミングでWi-Fi環境の増強を考えたいと語った。

 また、宿泊客が到着したら出迎えたり、空き状況を確認したりするために、駐車場にカメラを取り付けることも検討しているという。ここには、ネットギアの無線カメラ「Arlo」が適しているかもしれない。

 「新しいWi-Fi環境は、トラブルもなく運用できていて、お客様にはパスワードをお伝えするだけで快適に使っていただけています」とにこやかに語る松田さん。これからも手作りの温かなサービス、そして温かな笑顔で、白馬を訪れる多くの観光客を出迎えてくれるだろう。

(提供:ネットギア)

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