新サービス「Door」や「Gate」のほか、LoRaWAN事例も披露

いよいよグローバル展開!「世界のSORACOM」へ向かう道

大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

LoRaWANを試せるPoCキットを発表!実証実験も続々

 「新しいものを作り出している限り『創業』は続き、それが止まると『創業』は終わる」というピーター・ティールの本を引用した玉川氏は、5月に参入を決めたLoRaWANのビジネスについても言及した。

5月に参入を発表したLoRaWANの事業

 低速ながら省電力・免許不要で広域をカバーできるLoRaWANは、ソラコムにとって無線テクノロジーを拡張する意味を持っている。同社は5月にLoRaWANの技術を手がけるM2B通信企画(現M2Bコミュニケーションズ)との提携・出資を発表し、IoTのラストワンマイルを自ら開拓する意気込みを見せた。現在、SORACOMサービス自体もLoRaWANへの対応も進めており、LoRaモジュールをWebコンソールで管理できるほか、SORACOM BeamやFunnelを用いてクラウドにデータを送ることが可能になっている。

LoRaWANによるSORACOMプラットフォームの拡張

 さらに今回は基地局やモジュール、トレーニング、コンサルティングなどをすべて含んだLoRaWANのPoCキットも新たに発表。M2Bコミュニケーションズ、クラスメソッド、レキサス、ウフルの4社から提供されるという。

LoRaWANもオールインワンのPoCキットが提供される

 LoRaWANとSORACOMを組み合わせた実証実験も進められており、酪農のIT化を進めるファームノートでは、牛の導線管理にLoRaWANを使っている。その他、橋梁監視センサーに使う九州通信ネットワーク、自動販売機での利用を検証しているサントリーシステムテクノロジーなどの事例も披露された。なお、LoRaWANの技術概要や実証実験の詳細に関しては、別稿で紹介する予定だ。

トヨタの次世代テレマティックサービスでソラコムが担う役割

 LoRaWANの説明後は、前回に引き続きトヨタ自動車の藤原靖久氏も登壇し、次世代のテレマティックサービスの構想や、ソラコムのグローバル展開やLoRAWAN事業への期待を語った。なお、同社はKDDIと進めるコネクティッドカー向けグローバル通信プラットフォームの分野でソラコムとの協業を強化していくことを7月に発表している。

トヨタ自動車 e-TOYOTA部 部長 藤原靖久氏

 トヨタは2002年から「G-BOOKサービス」というテレマティックサービスを開始しており、オンデマンドの地図更新や目的地設定を代行してくれるオペレーターサービス、エアバッグと連動したヘルプネット、盗難車両の追跡、リモートメンテナンスなど幅広いサービスを提供している。

 しかし、グローバルでのテレマティックスには、国と地域ごとに通信仕様が異なっていたり、キャリア専用のSIMが必要といった課題があった。また、キャリア専用の通信設備が必要で、地図が未整備の地域がある。そのため、今後はグローバルで車載モジュール(DCM)を共通化し、KDDIが回線調達やグローバルで共通の通信プラットフォームの開発・運用を進めていくという。そして、この中でソラコムは新興国向けのローコストな通信サービスを担うことになり、LoRaWANの技術も用いられることになるという。

 トヨタはこうしたグローバル基盤をベースに、今後は新たなビジネスにチャレンジする。たとえば、通信機能の付いたドライブレコーダーを搭載することで自動車保険を割引にしたり、トヨタの持っている駐車場が空いている時に貸し出す。あるいは、車内向けのWi-Fiサービス、高齢者向けの運転見守りサービス、危険箇所をナビやWeb地図に表示するサービス、さらには走行距離とドライビングを連動させた新しいカーリースサービスなどをチャレンジしていくという。

この記事の編集者は以下の記事もオススメしています

過去記事アーカイブ

2024年
01月
02月
03月
04月
2023年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2022年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月
2021年
01月
02月
03月
04月
05月
06月
07月
08月
09月
10月
11月
12月