新サービス「Door」や「Gate」のほか、LoRaWAN事例も披露
いよいよグローバル展開!「世界のSORACOM」へ向かう道
7月13日、IoT向けの通信サービスを手がけるソラコムはプライベートイベント「SORACOM Conference “Discovery”」を開催した。基調講演に登壇したソラコムの玉川憲氏は、数多くの事例や新サービスをゲストと紹介すると共に、待望のグローバル展開についても詳細を語った。
怒濤の事例ラッシュで「今そこにあるIoT」をアピール
「IoTの最先端を探しに」というテーマで開催された今回の「SORACOM Conference “Discovery”」。1月に行なわれた「SORACOM Conference “Connected”」を大きく上回る2000人の予約登録が埋まり、基調講演も新宿ベルサールグランドの広大なスペースが満席に膨れあがった。国産IoTプラットフォームとして実績を積みつつあるソラコムへの業界の高い注目が伺える。
SORACOMを使った「まごチャンネル」を、玉川氏が100歳の祖母の家に設置しに行った模様を収めたビデオが放映された後、ソラコム代表取締役社長の玉川憲氏が登壇。スポンサーに対する謝辞を述べた後、イベント概要やIoT通信の課題を解決するSORACOMのサービス概要を説明した。そして、リリース9ヶ月でユーザーが3000を超えたことをアピール。Discoveryという名称の通り、数多くのSORACOM事例を披露した。
玉川氏は放射線のオープンマップを作っているSafecastや顧客の導線解析に用いているパルコ、IoT百葉箱を展開する内田洋行などの既存の事例のほか、インフォミクス、フルタイムシステム、北良などの遠隔監視の事例、十勝バス、ニコン・トリンブル、東海クラリオンなどの移動体での事例などを紹介する。
また、球場でのインスタントな決済に利用する楽天Edyや医療機器向けのタブレットで導入したコニカミノルタ、ISDNのリプレース回線としてSORACOMを使うセゾン情報システムズ、訪日外国人向けのSIMサービスで採用するeConnect Japanなどの企業事例も披露。さらにスタートアップでは、Akerun Remote、まごチャンネル、otta、Live ConnectなどでSORACOMが用いられているという。
従量課金で利用した分だけ支払うSORACOM Airはコスト面も優れており、事例を元にした詳細なコスト換算も出てきた。動態管理の十勝バスの例だと1ヶ月で1台300円くらい、楽天Edyだと1日1000決済でも350円程度しかかからない。 その他、デジタルサイネージやモバイルワーカーの業務端末でも同等のコストで実現できるという。「今まで通信を入れるには高すぎたというところでも使うことができ、インストールを楽にしたい、利便性を高めたい、リアルタイムに状況を把握することが可能になる」(玉川氏)。
外からデバイスにアクセスできるGateとインターネットVPN対応のDoor
昨年6月以降、ソラコムはさまざまなユーザーからのフィードバックを元に迅速に開発を進め、値下げも4回実施してきた。
ソラコムのサービスはSIMサービスのSORACOM Airを中心に全部で6つのサービスがあるが、これらは大きくアプリケーション系とネットワーク系に分けられる。アプリケーション系サービスとしては、クラウド側でデータを暗号化するSORACOM Beam、AWSやAzure向けのクラウドアダプターであるSORACOM Funnel、SIMを認証に利用するSORACOM Endorseなどがある。一方、ネットワーク系のサービスとしては、AWSのVPCとSORACOMを閉域網で直結するSORACOM Canal、AWS外のクラウドでの利用を可能にするSORACOM Directなどがある。
今回は個別のサービスがどのような事例で用いられているかも紹介された。たとえば、SORACOM FunnelはJapanTaxiが安全運転を支援するシステムの構築で採用されており、使い慣れたライブラリでクラウドにデータを保存することが可能になったという。また、EndorseはF5ネットワークスのADC(Application Delivery Controller)である「BIG-IP」との連携を実現。トラフィック制御のルールを設定できる「iRulesLX」での多要素認証で活用できるという。さらにSORACOM Canalは東急不動産で採用され、iPad端末でのポイント付与情報をセキュアに送信することが可能になった。
さて、頭文字のA~Fまで来たSORACOMの各サービス群だが、今回発表された1つ目のサービスは事前に予想された「SORACOM Global」ではなかった。
新サービスの「SORACOM Door」は、SORACOMとAWS外のクラウドやデータセンターをインターネットVPNで接続するサービス。従来はSORACOM Directで専用線接続する必要があったが、SORACOM DoorではAWSのIPsec機能を用いて、安価なインターネットVPNでSORACOMに接続できる。事例としては、ラベルプリンタの稼働監視を行なっているサトーホールディングスは、SORACOM Doorを採用し、安価でセキュアな接続を実現したという。なお、SORACOM Doorの利用料は300円/時間となっている。
もう1つの新サービスである「SORACOM Gate」はデバイスとクラウドを仮想サブネットで接続する機能になる。現在、SORACOMのネットワークは外部からの直接接続ができないポリシーとなっているが、外部からデバイスにアクセスしたいという要望は高いかったという。こうしたニーズから生まれたのがSORACOM Gateで、これを使うとデバイスとサーバーがあたかも大きな1つのLANでつながっているように見える。
SORACOM Gateのデモを披露したソラコムCTOの安川健太氏は、「サーバー側からカメラにアクセスしたり、タブレットからサーバーに接続したり、ラズパイにSSHすることが可能になる」と語る。事例もあり、アロバがカメラの画像から顧客属性を監視する用途で用いているという。
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