Chef、Mesosphere、Hashicorp、MSのDevOps伝道者が「de:code 2016」で熱いトーク
MS率いる黒船軍団が“DevOps鎖国”日本に開国を迫った日
2016年06月16日 07時00分更新
5月24日の日本マイクロソフト「de:code 2016」では、スペシャルセッション「黒船襲来!世界DevOpsトップ企業×マイクロソフトによるトークバトル」が催された。登壇したのは、DevOps支援ツールを提供するChef、Mesosphere、Hashicorpの各社代表と、マイクロソフトのDevOpsエバンジェリスト2名だ。
ただしこのセッションでは、DevOps支援ツールやテクノロジーの話、具体的な開発手法の話などは一切なかった。その代わりに、DevOpsの浸透が遅れている日本企業において、DevOpsを根付かせるために必要なビジョン、そして組織や企業カルチャーをどう変革していくべきかが熱く語り合われた。
日本のソフトウェア開発はいつまで「チョンマゲ」「カタナ」の世界なのか
そもそもなぜセッションタイトルが「黒船襲来!」なのか。その意図を、マイクロソフトのDevOpsエバンジェリストである牛尾剛氏が説明する。
牛尾氏は、DevOpsが浸透していない日本の現状を示した。調査によると、企業のソフトウェア開発プロジェクトにおけるアジャイル手法の採用率は、世界平均では95%(Version One調査、2015年)とすでにデファクトの位置付けとなっているのに対し、日本ではまだ31%(PMI調査、2015年)にとどまるという。エンタープライズ領域のソフトウェア開発を中心として、日本のDevOps導入は明らかに立ち遅れている。
こうした日本の現状について、牛尾氏は「200年前の『鎖国』時代とまるで同じだ」と厳しく指摘する。
「鎖国時代の日本は、2世紀にもわたって何も変化しなかった。新しいテクノロジーも、新しいライフスタイルも、海外から一切何も学ばなかった。一方で、そのころの米国では産業革命が始まり、新しいテクノロジーによって産業も社会構造も根本的に変化していった」(牛尾氏)
この長い鎖国時代を通じて、欧米諸国と日本との間には大きなギャップが生まれた。そして現在でもまったく同じことが起きている、というのが牛尾氏の主張だ。
日本企業が新しい技術、新しい考え方を採用せず、ウォーターフォール開発、“Excel方眼紙”の仕様書、スーツにネクタイといった旧来の世界にとどまっているのとは対照的に、米国企業ではDevOpsを始め、マイクロサービス、ギークカルチャーといった新たな潮流が生まれ、ビジネスの成長を後押しする存在として次々に定着しつつある。
鎖国時代の日本にショックを与え、変化を促したのは、ペリー率いる「黒船」の来航だった。大砲という最新テクノロジーを搭載した黒船を目にした日本人が「あれには勝てない」と感じ、海外の新しい技術と文化を学んでいった結果、その後の日本は大きな経済成長を遂げることになった。
「もちろん現在の日本にも、大きな変化を感じ、変わろうとしている企業や人はいる。開国後の日本が大きな経済成長を遂げたように、意識を変革すれば成長はできる。それをお伝えするために、今日は4人の“黒船”がやって来たわけだ」(牛尾氏)