KabyLakeとSkyLakeの大きな違いは
Turbo Boost MAX 3.0とチップセット
KabyLakeはSkyLakeとなにが違うのか? であるが、まずプロセッサーの側は動作周波数が若干向上するのが一つ目。もう1つは、インテルがCore i7-6950Xで導入したTurbo Boost MAX Technology 3.0を(一部の製品に)導入するのではないかと見られている。
このTurbo Boost MAX Technology 3.0は従来のTurbo Boost 2.0の延長線上にある技術である。これに関してインテルはまだ詳細を明確には説明していないのだが、諸々の報道をまとめると「あらかじめどのコアが一番動作周波数を上げ易いかを事前に確認してデータとして持っており、特に1コアのみ動作周波数を上げるようなシーンでは、この一番動作周波数を上げやすいコアを選んでBoostする」という技術の模様だ。
半導体の場合、どうしてもある程度のバラつきというものは存在しており、同じ1枚のウェハーから切り出したダイでも、消費電力が少なく動作周波数が上げやすいものと、消費電力が多くて動作周波数が上げ難いものは混在している。
これはダイの中でも同じで、1つのダイの中にあるコア毎に、動作周波数を上げやすい/上げにくいというバラつきが存在するのは避けられない。これを逆手にとって、上げやすいコアをメインに周波数を上げることで、Turbo Boost 2.0よりもより高い周波数を実現しようというものだ。
ただこの機能は10コアもあるBroadwell-Eのダイだから明確に違いが出やすいという側面もあり、4コアのKabyLakeでどこまで上がるかは未知数である。
Core i7-6950Xでは最大15%向上なんて数字も出ていたが、KabyLakeではここまでバラつきがあるかどうかはわからない。
加えて言えば、Broadwell-Eでは140WというTDPに加えてベースクロックが3GHzと低めのため、発熱量にゆとりがある(ダイサイズが大きいのも、熱密度を下げる意味で効果がある)わけだが、KabyLakeではベースクロックが4GHz以上になると思われるので、ここでTurbo Boost MAX 3.0を導入しても周波数的には1bin余分に上がるかどうか、というあたりかもしれない。そんなわけで、効果の程には多少疑念は残るが、一応差別化の一要素として加わることになりそうだ。
むしろKabyLakeでは、チップセットの側の変更の方が大きい。中山智氏のレポートにもあるように、USB 3.1やHDCP 2.2、Thunderbolt 3のネイティブサポートなどが加わるのはすでに明言されているが、デスクトップ向けにはさらにPCI Expressレーンの拡充もなされるようだ。
対応するチップセットはIntel 200シリーズとなるが、おそらくハイエンド向けとなるZ270(という名前ではないかと筆者は勝手に予想している)は24レーンのPCI Expressがチップセットの方から出るようになる。100シリーズの場合、Z170でも最大20レーンだったので、これも違いとなる。
またこれはまだ未確定(情報の精度というよりはインテルの社内事情)であるが、インテルが従来からアナウンスしてきた3D XPointベースのOptane Technology対応SSDのサポートも追加される「らしい」。
なぜ「らしい」なのかというと、本当に2017年度にOptaneベースのSSDが出荷できるかがまだはっきりしないから、ということだそうだ。
なお中山智氏のレポートでもApollo Lakeについて言及されているが、こちらはモバイル(低価格の2-in-1やタブレット)向けで、デスクトップ向けの投入はない模様だ。Bay Trail-Dの後継はないまま、デスクトップ向けのSKUが消えることになると思われる。

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ











