狙いは中小企業
三島社長は「収益強化のためにはソリューション提案力が必要になる。これまでは家庭用プリンターにリソースを傾注し、その市場におけるシェア向上、認知度向上に力を注いできた。今後はSOHOおよび中小企業市場での事業拡大を図り、あわせてチャネル開拓にも注力する。この市場はほぼ横ばいの成長が想定され、当社にとってモノクロA4プリンターの拡販の余地は大きい。今後、ビジネス市場攻略のための柱とする」と語り、「新中期経営計画において今回の新製品が占める位置づけは大変重要である」と続けた。
今回発表した製品では、従来製品に比べて2倍となる約60万枚の装置寿命を持つ高耐久モデルのモノクロレーザー複合機「MFC-L6900DW」と、モノクロレーザープリンター「HL-L6400DW」が主軸となる。
A4モノクロ印刷のランニングコストは1枚あたり約2円。印刷速度も最高で毎分50枚と高速化を実現している。さらに増設給紙トレイのラインアップを拡充するなど、オプションの幅も広げた。多様な用紙サイズや種類の取り扱いが可能になり、用紙補給の手間も軽減する。さらにクラウドによるFAX転送機能や、スマートデバイス対応により、スキャンした書類を外出先で確認したり、社員同士の情報共有にもクラウドを活用する提案も行なっていく。
「中小企業向け市場におけるポジショニングを強化するのが今回の新製品の狙い。グローバル展開を行なっている強みを生かして、パォーマンスの高さ、ランニングコストの強みだけでなく、コンパクト性や使いやすさを強化するとともに、印刷速度を高め、印刷枚数の耐久性も強化した」と語る。
今回の新製品では同社がこれまで得意としたSOHO市場を対象にするだけでなく、中小企業での利用を想定した製品としてラインアップしており、「これを皮切りに今年、来年とこの分野に向けて、多数の製品を投入していくことになる」とする。
サポート体制についても、交換部品の提供までを組み込んだ新たなサービスパックを用意。コールセンターのサービス対応の強化も図る。
だが、製品やサポート体制を揃えただけでは、成長戦略には限界がある。とくにこの領域では、販売ルートの確立が重要なカギを握る。

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