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デバイス組み込みも可能な軽量NGFWエンジン技術、クラビスターCEOに聞く

「やがてIoTセキュリティは“エアバッグ”のような存在になる」

2016年06月01日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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IoTセキュリティには「2つのアプローチ」で取り組む

――クラビスターの注力領域の中で、現在特に注目されている「IoTセキュリティ」について教えてください。まず、IoTをめぐる脅威についてどう見ていますか。

 「IoTデバイスが攻撃者に悪用される」というシナリオが、最も大きな脅威だと考えている。たとえば、インターネット接続している大量の監視カメラがハッキングされて、バンキングサイトに対するDDoS攻撃の“踏み台”として悪用されるような事件はすでに現実のものだと言える。

 また、接続されたデバイスやマシンを乗っ取るタイプの脅威もある。たとえば現在、多くの自動車メーカーやトラックメーカーが、コネクテッドカーの開発に取り組んでいるのはご存じのとおりだ。だが、それらがインターネットにつながることで、自動車をハッキングして遠隔操作で暴走させたり、トラックの積み荷や走行位置の情報を盗み出したり、といった攻撃が可能になる。

 実際、昨年にはハッカーがクライスラー社「Jeep」の車載システムに侵入し、ハッキングによって遠隔操作ができることを公表した。彼らは実際に、高速道路を走行中のテスト車をハッキングして見せた。これにより、クライスラー社は140万台のJeepをリコールし、システムをアップデートしなければならなかった。

 自動車ほど重大な危険を及ぼす製品でなくても、IoTデバイスを製造するメーカーは、自社のブランドをリスクにさらしているのが現状だ。ハッキングされてしまえば、メーカーとしての信頼性が大きく傷つく。ユーザーとしても、そういうリスクのないメーカーの商品を選びたいと考えるのが当然だろう。

――もちろんです。それではそうしたIoTの現状に対し、クラビスターとしてどのようなソリューションを提供できるのでしょうか。

 IoTに関しては2つのアプローチがある。まず1つめは「IoTデバイスそのものにセキュリティを組み込む」というアプローチだ。

1つめのアプローチ「IoTデバイスそのものにセキュリティを組み込む」。軽量なソフトウェアベースの技術という特徴が生きる

 前述のとおり、クラビスターは組み込み領域からスタートしている。IoT関連の最近の事例としては、市中に設置されている電気自動車/自転車の充電ステーション、ドイツの電力会社が設置している風力発電用の風車、消防車や救急車間のコミュニケーションシステムなどのセキュリティで採用されている。

 また現在は、ある自動車メーカーのコネクテッドカーで車載システムのセキュリティとしてテスト中だ。IoT関連では現在評価中の顧客も多く、名前が出せないのが残念だが、今後公表できるケースも増えるだろう。

 ちなみにインテルと共に、クラビスターのソフトウェア容量をさらに小さくするという研究開発も進めている。よりリソースの小さなIoTデバイスにもセキュリティを搭載できるように、セキュリティ機能を絞り込んだ超軽量バージョンを作っているわけだ。

――「2つのアプローチ」とおっしゃいましたが、IoTセキュリティにおけるもう1つのアプローチは何でしょう。

 もう1つは「IoTデバイスが接続するネットワークにセキュリティを組み込む」というアプローチだ。IoTシステムの多くは、4G/LTEなどのモバイルネットワークを利用して通信を行う。このキャリアネットワークにセキュリティのを搭載していけば、IoTデバイス自体にセキュリティ機能が備わっていなくても攻撃を防ぐことができる。

 具体的な取り組みとしては、今年初頭にノキアネットワークスとの協業を発表している。

 ノキアではモバイルキャリア向けに基地局やネットワーク機器を提供しているが、4Gモバイルバックホール(基地局~コアネットワーク間のネットワーク)用のセキュアゲートウェイ製品として、クラビスターのセキュリティ技術をOEM提供する。同時に、コアネットワーク~インターネット間のゲートウェイにもセキュリティを提供する。

2つめのアプローチ「IoTで利用するモバイルネットワークにセキュリティを組み込む」

 テレコム領域におけるクラビスターの実績はまだ大きくないが、今回、ノキアというキャリアグレードの品質を要求する顧客に選んでいただいたことは、クラビスターとして重要な意味を持っている。テレコム市場の案件は規模も大きく、当社の中でも今後、この領域のビジネスは急速に伸びていくものと期待している。

 前述したIoTデバイスメーカーの話と同じように、IoTのネットワークを提供する通信事業者にとっては今後、「ネットワーク側でセキュリティを備えている」ことがビジネスチャンスを生むようになるのではないか。自動車がエアバッグを搭載しているのが当たり前になったように、デバイス、ネットワークのいずれにしても、セキュリティ能力が組み込まれているのが当然と考える時代が来るはずだ。

――最後に、これからの日本市場での展開については、どんな期待を持っていますか。

 日本は世界で2番目に大きなセキュリティ市場を持っており、クラビスターでも非常に重要視している市場だ。すでに日本のカントリーマネージャーを設け、よりいっそう注力していく方針を固めている。

 ただし、日本市場は製品に対する要求品質が高く、独自のカルチャー、独自の言語を持つ。日本で成功するためには、最適なパートナーが日本に必要だった。その意味で、キヤノンITSとのパートナーシップは非常に大きな意味を持っており、期待も大きい。

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