豊富な最新技術デモも、開発者向けイベント「de:code 2016」基調講演
MSナデラCEOが語る、3つの注力プラットフォームと「もう1つ」
2016年05月25日 07時00分更新
日本マイクロソフト(日本MS)主催の開発者/エンジニア向けイベント「de:code 2016」。1日目の基調講演には米マイクロソフトCEOのサティア・ナデラ氏らが登壇し、現在注力する「3つのプラットフォーム」の最新動向を語り、最新技術デモを披露した。
ビジョン実現のために「3つのプラットフォームに3つの野心がある」
ナデラ氏はまず、マイクロソフトとしての事業ミッションをあらためて説明し、その実現に向けてMSでは「3つのプラットフォーム」に注力していることを紹介した。
ナデラ氏率いるMSでは「地球上のすべての人々、すべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」という事業ビジョンを掲げている。これまで何度も語ってきた、同社にとっての普遍的なビジョンだ。そして、そのビジョンどおり人々や組織をエンパワーメントするために、これまで製品やサービスの展開においては「モバイルファースト、クラウドファースト」のアプローチを進めてきた。
今後、さらに拡大と分散化の進むコンピューターの世界を支えるために、MSでは3つのプラットフォームについて「3つの野心(Ambition)」を持っている。それは、「さらにパーソナルな体験を実現する(Windows)」、「生産性とビジネスプロセスを再発明する(Office/Dynamics)」、そして「クラウドプラットフォームにインテリジェンスを搭載する(Azure)」ことだという。
「5年後のコンピューティング環境は、単一のクラウドコントロールプレーンの管理下で、アプリケーションはより分散された環境で、インテリジェントに稼働するようになる。(それを支えるプラットフォームの提供を通じて)開発者の皆さんの想像力を生かせるようにお手伝いしたいと考えている」(ナデラ氏)
Windowsプラットフォームはさらに“ユニバーサル”な存在に
MSでは、その「3つのプラットフォーム」をどう成長させているのか。具体的な最新動向を、米MSチーフエバンジェリストのグッゲンハイマー氏が説明した。
まずはWindowsプラットフォームだ。あらゆるデバイスで動作する「UWP(Universal Windows Platform)」を備えるWindows 10は、現在、「Raspberry Pi」のような組み込みデバイスからスマートフォン、PC/タブレット、ゲーム機、大画面タッチデバイス、さらにはHMDの「HoloLends」までをカバーするプラットフォームに成長している。
「(UWPによって)アプリケーションのコアコードは1つだけで、すべてのデバイスに使えるようになった。もちろん、将来出てくるWindows 10デバイスでも使える。開発だけでなく、さまざまなデバイスの管理を統合できるメリットもある」(グッゲンハイマー氏)
そして今夏には、生体認証の「Windows Hello」や「Windows Ink」、「Bash on Windows(Ubuntu on Windows)」など、新機能を多く盛り込んだ「Windows 10 Anniversary Update」がリリースされる。
「Anniversary UpdateのWindows Inkは、タブレット環境で非常に便利。OSの標準機能であり、独自開発のアプリに組み込むこともできる。またBash on Windowsは、特に開発者の皆さんにとって“使える”機能になるだろう」(グッゲンハイマー氏)
UWPで開発されたアプリの事例として、ブリヂストンがタイヤ販売店向けに開発した「Toolbox」のデモも披露された。自動車修理工場などの現場でタイヤ検査などの作業をしながら使うアプリのため、音声コマンドで測定値などを入力できるようになっているほか、デバイス内蔵カメラで撮影した写真を添付したり、検査者がペンでコメントやサインを書き込むことができる。
さらに同アプリはXamarinを統合したVisual Studio上で開発されており、Windowsプラットフォームだけでなく、Xamarinを介してAndroidやiOSにも容易に展開できることが紹介された。「非常に強力なツールセットが開発者に提供されることになる」(グッゲンハイマー氏)。