宮崎県立西都原考古博物館にビーコンを活用した位置検出ソリューションが採用された。エンバカデロおよび丸紅情報システムが提供し、スマホによる博物館内のナビを実現する。
2004年4月にオープンした西都原考古博物館は、古墳時代を中心に南九州の歴史を国内外に発信する歴史博物館。外国人の来館も多いため、音声ガイドは日本語・英語・中国語・韓国語の4カ国語に対応しているが、展示室内のパネル開設は日本語表記のみとなっていた。外国人向けには、学芸員やボランティアのガイドで対応してきたが、すべての来館者に十分な対応ができないという課題があった。
今回、スマホやタブレットで利用できる「西都原考古博ナビ」アプリを導入することで、展示室に設置されたQRコードやスマホが感知する現在位置によって、目の前の展示内容の詳細な解説を4カ国語で表示できるようにした。
技術的には、省電力で電波を発信する丸紅情報システムズ製のビーコン「RapiNAVI Air2」と、これを用いて位置検出を行うエンバカデロのソフト開発機能「BeaconFence」で構成される。
ビーコンによってスマホの接近を検出。これを複数個組み合わせることで、三角測量の原理でスマホの現在位置を測定する。「西都原考古博ナビ」アプリの開発にあたっては、エンバカデロの開発ツール「RAD Studio」と「BeaconFence」を組み合わせることで、iOS/Android両方のアプリを素早く構築できたという。
ビーコンと各種設備の配置は、ディスプレイデザインを手掛ける乃村工藝社グループのノムラテクノが、モバイルアプリの開発は、Papyrus、シリアルゲームズが担当した。
西都原考古博物館は、国の特別史跡に指定されている西都原古墳群の一角にあり、広大な古墳群と一体となった展示が特長。同館では今後、これらの古墳群を含めたナビゲーションシステムの拡張や、顧客が立ち寄った箇所や利用した場所を可視化し、滞留情報などを活用することで展示の最適化などを計画している。
