管制のやり取りは意外とアナログ
管制室は撮影禁止だったが、間近で発着のガイドを見ることができた。そこでおもしろかったのは、意外とアナログだということだ。
ビジネスマンであれば、チームが集まったデスクでやり取りしながらの業務経験はあると思うが、それと似ている。これは人も機械も完璧ではないので、相互にクロスチェックをしつつ、さらに第3者もフォローしつつといった仕様だという。
しばらく見ていて「編集部っぽい」と思ってしまったのだが、LCDモニターが多々並ぶといった光景ではない。水平軸360度がガラス張りで、A~D滑走路をすべて視認できるため、視認とデータチェックを行なっていたので、たしかに見たほうが速いというのもある。
なお内部の様子や、やり取りの詳細については、国土交通省ウェブサイト内にある「管制塔バーチャルツアー」が詳しく、また写真資料も豊富だ。
ASCII.jp読者諸君においては、こういった環境下の入力インターフェースは性能重点と思ったハズ。筆者もそうだが、その逆で、実にレガシーだった。
キーボードは1000~2000円台のものばかりで、マウスも同様でエントリーモデル中心。保守(?)として置かれていたマウスはPS/2接続のボール式マウスといった感じだ。
これはソフトウェア操作が最小限になっており、かつ決定優先度がそれほど高くないためと思われる。これについて説明員は「フルに機械に頼ると、エラーが出ているかわからなるし、いざというときにソフトで対応できなくなる。なので、あくまで機械は多重チェックのひとつで、意外と人力です」と説明してくれた。
直近ではANAのサーバーがダウンするトラブルがあったが、そのときも即座にアナログに切り替えて、運航に遅れは出たものの、しっかりと対応していた。
それを踏まえて、管制シミュレーターを見てみよう。こちらはレーダー画面の接写はNGだったが、ほぼ撮影可能だったので写真資料は豊富だ。
ディスプレーは、67型の三菱製「LVP-67XH50」を360度(厳密には入退室用通路部分だけはナシなので350度ほど)に配置し、管制室からの様子を再現しているものだった。その点以外は管制室と同じ機材が用意されている。
どんなPCを使用しているのか気になったのだが、下の写真のようにゴツいケースに格納されていた。スペックはそれほど高くないとのことだ。
ケースはよく見ると入れ替えが楽な作りになっており、故障の場合は迅速に交換可能だ。また少しサイズが大きいケースであるため、無停電電源装置も内蔵していると思われる。あと、PS/2をUSBポートに変換する、おなじみのアレも視認できた。
空港のあちこちで確認できる多重チェック
というように、取材の様子をお知らせしてきたが、人と機械による多重チェック、協力国同士でのクロスチェック、そして意外と人力要素が多いのだが、徹底したチェック、そして訓練で安全が確保されているのが垣間見えたハズだ。
こういった動きは裏側だけでなく、普段空港を利用する際にも見え隠れているので、利用する場合にどういったチェック体制にあるのかを観察してみると、より安全確保のためのアプローチへの理解が深まるのではないだろうか。
最後に管制回廊からの写真をペタペタと掲載しておくので、管制官になった気分で楽しんでもらいたい。