NFCを利用したモバイル決済、モバイル端末向けクレジットカードリーダーなど、モバイル決済分野は大きな起爆はないもののゆるやかに少しずつ動いている。
2月に入り、モバイル端末に装着してカード決済を可能にするSquareのApple Pay対応カードリーダーを全米のApple Storeで購入できるようになった。Square、そしてApple Payの両方に好影響をもたらすかが注目される。
Apple Payでの決済に対応したSquareのカードリーダー
これで個人商店でもApple Payが利用可能になる!?
SquareはAppleがApple Payを発表した当初からサポートする姿勢を明らかにしていた。共同創業者でCEOを務めるJack Dorsey氏に本社で取材して計画を聞いたのが2014年11月、それから一年後の2015年11月にSquareはApple Pay対応を実現した。
これまでApple Payに対応した最新のカードリーダーはSquareのウェブサイトでのみの提供だった。価格は49ドル。この2月より、Apple Storeでも取り扱いを開始した。
商店はこれを利用して、クレジットカード決済に加えて、Apple Payによる決済も提供できる。もちろん、Android Pay、Samsung Payなど同様のNFCを利用した決済サービスも利用可能だ。商店側はリーダー端末購入に加え、決済金額の2.75%をSquareに支払う。既存ユーザーは1台に限り無償で交換にも対応してくれるようだ。
IPO以来、株価が下がっているSquare
期待されるメリットはいくつかある。まずはApple側。単純にApple Payの裾野拡大が期待される。これまでWalgreens、Whole Foods、Peet’s Coffee、マクドナルドなどが導入、アプリで対応しているものではAirbnbなどがある。Squareは主に個人商店を顧客に持つことから、リーダー導入のコストでできなかった、これら個人商店や小規模な小売店で導入が進むと考えられる。
次にSquare側。個人商店を中心に普及が進んでいる同社のカードリーダーだが、ブームが一巡した感がある。Apple Payのサポートを機に需要を喚起したいところだ。なお、スマホ向けのカードリーダーでApple Payに対応するのは実はSquareが初めてではない。すでにPay Anywhereは2015年夏に発表、価格も39.95ドルと少し安い。そしてAppleも取り扱っているようだ。
Squareは2015年11月にIPOを果たしたが、市場全体の動きに連動してか株価が下がっている。9ドルのIPO価格に対し、1月後半からこれを下回っている状態だ(記事執筆時点)。Dorsey氏はSquareの前に共同創業したTwitterのCEOも務めており、”二足のわらじ”は今のところちょっと苦しいように見える。
なお、先日たまに利用するある国内の出張サービスを利用したところ、以前はSquareを使っていたのが楽天スマートペイに変わっていた。理由を聞いたところ、スマートフォンのイヤフォンジャックに差し込んで使うのは不安定で、時間がかかることしばしばだったという。楽天スマートペイはスマートフォンに直接接続せずにBluetoothを利用するタイプで、こちらの方が安定しており決済がスムーズとのことだった。
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