Extreme 900の速度は
利用環境に左右される
次に、デジタルカメラの撮影データ転送という、これら製品がターゲットとする用途を想定し、デジタルカメラで撮影したJPEGデータ300ファイル、RAWデータ300ファイル、合計600ファイル、容量約6.3GBのデータをPCからポータブルSSDに転送するのにかかる時間を計測してみた。ストップウォッチを使って手動で5回計測し、最速と最遅を省いた3回分の平均を出している。
約6.3GBのファイルコピー時間(SATA接続) | |
---|---|
Extreme 900 | 約26.0秒 |
Extreme 500 | 約26.5秒 |
結果を見ると、Extreme 900とExtreme 500の間にほとんど差がなかった。ただ、これには理由がある。それは、今回のテスト環境では、転送データをPCに接続したSSDに格納し、そこから転送する方法で行なったが、そのSSDはSATA接続仕様で、リード速度がExtree 900のライト速度を下回っていたからだ。
そこで、別途NVMe対応のPCIe接続M.2 SSD「Samsung SSD 950 PRO 256GB」を用意し、そちらにデータを格納した状態でもう一度計測してみた。すると、Extreme 900の転送時間が9秒以上速い16.8秒に短縮され、本来の性能が遺憾なく発揮された。やはり、データ送出側SSDの速度がボトルネックとなっていたわけだ。
約6.3GBのファイルコピー時間(PCIe接続) | |
---|---|
Extreme 900 | 約16.8秒 |
Extreme 500 | 約25.4秒 |
では、Extreme 900をUSB 3.0ポートに接続して利用した場合はどうだろう。こちらも、送出データをSamsung SSD 950 PRO上に置いて測定してみたところ、約22.8秒と遅くはなったが、それでもSATA SSDからデータを転送する場合よりも若干高速だった。
このことから、接続ポート同様に、データ転送時のデータ送出側の速度もかなり重要なポイントとなりそうだ。
約6.3GBのファイルコピー時間(USB 3.0接続) | |
---|---|
Extreme 900 | 約22.8秒 |
それぞれに魅力があり
甲乙付けがたい
以上の結果から、Extreme 900の優位性は十分に確認できたが、逆に利用時の問題も浮き彫りになった。
それは、Extreme 900の性能を最大限に引き出すには、PCにUSB 3.1 Gen2対応ポートが用意されていることに加え、PCIe接続に対応する高速なM.2 SSDを利用したり、SATA接続SSDを複数台利用したRAID環境を実現することで、Extreme 900側を超える速度を発揮する内蔵ストレージが不可欠になる、ということだ。つまり、Extreme 900の性能は、利用環境によって大きく左右されると言えるだろう。
そうはいっても、ポータブルHDDに比べて圧倒的な速度が発揮されるのは間違いなく、大容量データも短時間で転送できるだろう。加えて、最新ノートPCでは、PCIe接続の超高速SSDを内蔵し、USB 3.1 Gen2対応ポートを備える製品も徐々に増えつつある。そのため、Extreme 900の速度を最大限引き出せる環境も徐々に整ってくるはず。
もちろん、最大1.9TBという大容量も大きな魅力で、大容量かつ高速なポータブルストレージを探している人にとって、注目の存在になるはずだ。
同様に、Extreme 500もUSB 3.0接続のポータブルSSDとしてトップクラスの速度を発揮するとともに、実測でも十分な高速性を確認しており、魅力が大きく劣ることはない。
容量は最大480GBとExtreme 900に負けるが、コンパクトかつ軽量なボディで、軽快に持ち運べる点が大きな魅力。超高速ポータブルストレージを、かさばることなく持ち運びたいなら、こちらがお勧めだ。
なお、各製品の発売時期および価格は、以下にまとめたとおりだ。
スペック | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
製品名 | Extreme 900 | Extreme 510 | Extreme 500 | |||
出荷開始日 | 2016年4月 | 2016年4月 | 2016年2月 | |||
予価 | 1.92TB:12万円 960GB:7万5000円 480GB:4万5000円 |
480GB:3万8000円 | 480GB:3万5000円 240GB:2万円 120GB:1万5000円 |